#569
――その頃、バイオニクス共和国でもジャズたちがいる場所と同じ現象が起こっていた。
激しい豪雨や凄まじい雷が共和国の街へ降り注ぎ、さらに地震によりコンクリートの地面が割れ、
もはや共和国を守っていた連合軍も、襲撃して来た
「おぉ……我らが師、イード様がついにやったぞ。儀式は行われたのだッ!」
割れた地面に敵味方共に飲み込まれ、突風で吹き飛ばされる者や雷雨に打たれて黒焦げになる者など、その場にいるすべての人間が逃げ惑う。
「どうなってんだよこりゃッ!?」
ブレイクが叫ぶ横には、ウェディングとラヴヘイトがいたが、二人共何も答えることができない。
ただ突然起こった大災害を眺めているだけだ。
「ブレイクッ! 今は皆の避難誘導と救助をッ!」
そこへリーディンが現れ、三人に向かって声をかけた。
ブレイクたちは彼女の言う通りだと、動き出そうとしたとき――。
駆け寄って来たリーディンの持っていた神具――経典アイテルが禍々しい輝きを始めた。
「なにこれ……? なんなの……? う、うわぁぁぁッ!!」
その黒い光がリーディンを包む。
ブレイクが彼女に駆け寄ると、ウェディングとラヴヘイトがそんな彼を見て両目を見開く。
「ねえ、ブレイク兄さんの刀も……」
「なんかわかんねぇがヤベェぞッ! 早くそいつを放せッ!」
二人が叫んだことでブレイクも気が付く。
握っている二刀――神具
「どうしたリトルたちッ!?」
ブレイクが声をかけると、
だが、リーディンはその場で倒れて叫び続けている。
経典アイテルはすでに消滅しているようだが、その身体を覆う黒い光がまるで彼女のことを蝕んでいるようだ。
「おいリーディンッ! しっかりしろッ! ……なんなんだよ……なんなんだよこりゃッ!?」
誰もが現状を掴めずにいた。
しいていえば、
エディモネッティや、岩のような巨躯を持つロダルテ、顔に包帯を巻いた女性ドリスヴァンノッテンなどはわかっていそうだったが、とても彼らに訊けるような状況ではない。
「この
遠くでエディモネッティが叫んでいる。
そこには、黒い禍々しい光が人型になった者たちがいた。
その数は、この場にいる連合軍、
「さあッ! 我ら人類に神の裁きをッ!」
それがエディモネッティの最後の言葉となり、彼は人の形をした黒い光によって食われていった。
エディモネッティの表情は、食い千切られるまで最後まで恍惚だった。
連合軍も
だが、そのとき――。
空を飛ぶ幼女――サービスが一人、黒い光の集団へと向かっていく。
「ジャズ……ミックス……。ごめんなさい……」
サービスはそう呟きながら涙を流すと、纏っていた黄金の光りを周囲に放ち始め、そのまま黒い光の群れの中へと飛び込んでいってしまった。
そのサービスが放った光の影響か、黒い光の群れはその場から消え去っていった。
だが、そこからさらに豪雨と雷が激しさを増し、地震によって建物は崩れ、凄まじい突風――嵐により、人間が木から落ちた葉のように飛ばされていく。
「世界が終わる……のか?」
一人上空にいた白銀髪の女性――ミウムはその光景を眺めながら、思わず呟いてしまっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます