#529
声を荒げたソウルミューは一瞬の間もなくブラスターハンドガンを発射。
放たれた光線がイードの頭へと飛んでいったが、翳された手の光りによって弾かれる。
それでもソウルミューはブラスターハンドガンを連射。
だが、その正確な射撃もイードには通じなかった。
「ソウルミュー……」
「オレの作戦を聞かねぇからだよ……」
「ごめん……」
イードの腕に締め上げられているダブは、銃口を向けているソウルミューに呟くと、悲しそうな表情を返した。
そんな二人の様子を見たイードが口を開く。
「ダブの友人か。シンのこともそうだったが、どうやら息子の友人関係とは親には把握できないものらしい」
「違う、ダチじゃねぇよッ! ダブはオレの恩人だッ! 早くダブを離せよッ! じゃねぇとそのジジイの金玉袋みてぇな顔を吹き飛ばすぞッ!」
ソウルミューが再び叫ぶと、イード弟子たちが動こうとした。
だがイードは彼らを目で制し、ダブへと語り掛ける。
「ダブ、友人はよく考えて選ぶように言っておいたはずだが。こんな口の悪い男のどこに惹かれたのだ?」
声をかけられたダブは、父イードを無視してソウルミューを見つめていた。
そして、弱々しく彼に向かって呟く。
「ソウルミュー……僕のお願いを覚えてるでしょ?」
すすり泣きながら言葉を繋ぐダブ。
ソウルミューは彼を見つめ返してはいるが何も言わず、ただ顔を強張らせてブラスターハンドガンをイードに向けたままだった。
心なしか手が震えているように見えたイードは、息子とソウルミューのやり取りからその願いというのを察した。
「殺してくれとでもお願いしたのか? 無理だぞ息子よ。こんなどこの馬の骨ともわからぬ輩にそんな度胸はない」
「オレは馬の骨じゃないッ! お前たちを止めようとした男……ブルースの息子だッ!」
その言葉を聞いたイードはフッと鼻で笑うと、締め上げていたダブをソウルミューのブラスターハンドガンの前に突き出した。
撃ってみろと言わんばかりの態度に、ソウルミューはさらにその顔を歪める。
「作戦を……聞かねぇからだよぉ……」
表情を歪めながらソウルミューが呟くと、ダブは涙を流しながら彼に笑みを返した。
そんな息子を見て、さすがのイードも驚いているようだった。
「君に会えてよかった……。本当に……本当にぃ……」
その笑みを見たソウルミューは、ブラスターハンドガンの銃口をイードからダブのほうへと向ける。
それからしばらくの沈黙の後。
ソウルミューは震えながらも口を開く。
「オレもだよ……」
そして、ソウルミューは歯を食いしばりながらブラスターハンドガンの引き金を引いた。
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