#447
笑みを浮かべているリーディンに、ジャズは駆け寄る。
ジャズは彼女に訊きたいことや話したいことがたくさんあったが、上手く言葉にできずにその場で言葉を詰まらせてしまっていた。
「あ、あのさ! え~と、いや~、ひ、久しぶりだったよね! 元気してたかな~?」
「お~い、なんか変な言葉使いになってるぞ~。つーかあなた、よく自分を殺そうとした相手にそんな嬉しそうに声をかけれるなぁ……」
そんな彼女に呆れてるリーディン。
一方のジャズは彼女から言われたことが胸に突き刺さったのか、それとも何かを思い出したのか、随分と複雑そうな表情して顔を引き
緊張が解けたように見えたのか。
リーディンは気さくにジャズに訊ねる。
「今日は一緒じゃないの? あの適合者の彼。たしかミックスだっけ? あなたの彼氏でしょ?」
「あんな奴彼氏じゃないよッ!」
「おいおい、なんで怒ってるわけ? 喧嘩でもしたの?」
リーディンに
だが、リーディンは答えることなくジャズに背を向けてその場を去っていってしまう。
「待ってよリーディン! やっと、会えたのに……」
ジャズが彼女の背中に声をかけると、突然一枚のカードが放たれて壁に突き刺さる。
そして、リーディンは背を向けたままジャズに返事をする。
「一応、そのカードに連絡先は書いてあるから。暇だったら連絡ちょうだい」
「う、うん! 絶対に連絡する」
ジャズの言葉を聞いたリーディンは、背を向けたまま手を振って、彼女の目の前から消えていった。
それから会場の席へと戻ったジャズ。
笑みを浮かべている彼女を見たミックスは、不可解そうに声をかける。
「なんかあったの? 随分と嬉しそうだけど」
「後で話してあげる。ウフフ」
ミックスは思う。
会場を出て行く前は不機嫌そうだったのに、戻ってきたらご機嫌になっている。
何があったのかはよくわからないが、よくもまあこうも気分がコロコロ変わるものだなと。
「ホント……女の子ってよくわからないや……」
「うん? 今なんか言った?」
「な、なんでもないよ! さあ、今度は寝ないようにしなくっちゃ」
慌てて言うミックスを見たジャズは、よくわかんない奴だと思うのだった。
その後、再び会場中央にある席にベクターが現れると、ざわついていた群衆たちが一気に静かになる。
ベクターの傍には彼の部下であるイーストウッドと、先ほど紹介されたハザードクラスの二人――。
だが、
ジャズは何故彼女がいないのか不思議に思っていると、イーストウッドがマイクに向かって口を開く。
「では、再び公開会議を始めようと思う。まずは先ほどのノピア将軍の発言に対することだが――」
イーストウッドが話を始めようとしたとき――。
突然、会場に一体の人型の機械が現れた。
全身がメタリックなボディでできたいかにもロボットといった感じだ。
ジャズやミックスを含め、会場にいた者たちは何かのデモンストレーションかと思っていると――。
「それ以上……会議をする意味はない……」
そのロボットはそう言葉を繋ぎながら、ゆっくりと会場内へと足を踏み入れるのだった。
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