#414

倒れている死体には何をされたのか、首から上がもぎ取られた者もおり、メイカはあまりの惨劇にその場に両膝をついて放心状態になってしまう。


そのままの姿勢で辺りを見渡していた彼女の目に、寄り添いあったまま倒れている男女の姿が入った。


メイカはその男女に駆け寄った。


そして、必死な形相で声をかける。


「オーデマッ! パテックッ! しっかりしてッ あたしだよ! メイカだよッ!」


その寄り添いあっていた男女は、メイカに声をかけてたオーデマとパテックだった。


オーデマは恋人であるパテックを庇ったのだろう。


その身体には、彼女以上に銃創が残っていた。


メイカは何度も声を張り上げてその体を揺らしたが、血塗れで開きっぱなしの目をした二人から返事はなかった。


「一体……誰がこんな……こんな酷いことを……」


涙を流して俯く彼女の前に、法衣を着た集団が現れる。


集団は皆、自動小銃を構えてメイカを囲むように近づいてきていた。


メイカはこの集団の着ている服に見覚えがあった。


今日にロウルと話していたばかりだ。


「あんたらは……ッ!?」


涙も拭わずに顔をあげたメイカは、その集団を見てはっきりと思い出す。


そう――。


かつて人類を滅ぼそうとしたコンピューターを崇める宗教団体。


世界中に信者がいるテロ組織。


永遠なる破滅エターナル ルーインだ。


立ち上がって叫んだメイカに、永遠なる破滅エターナル ルーインの集団は自動小銃をの銃口を向けた。


そして、彼女が動き出す前に一斉射撃。


問答無用で撃ち殺そうとした。


だが、泣いているメイカが手をかざすと、その掌から光の壁が現れる。


すべての銃弾はその光の壁に弾かれ、法衣を着た集団は慌てて後退し始めた。


「なんで……なんで……この里を襲ったんだよ……。ここには金目のものなんてないのにッ!」


メイカは先ほど以上に涙を流しながら、その両手から凄まじい生命エネルギーオーラほとばしっていた。


そして、その光る両手を振り回しながら、後退しようとしていた集団を叩きのめしていく。


いくら銃を撃とうが光の壁が銃弾をさえぎるため、誰もメイカに歯が立たない。


「なんでだッ! なんでこの里の皆を殺したんだぁぁぁッ!!」


そんな我を忘れて暴れ回るメイカ。


だが、永遠なる破滅エターナル ルーインの信者を皆殺しにしようとしていた彼女の目の前に、白髪の老人が現れた。


「待て、メイカ」


それは、この里――時の領地タイム·テリトリーの里長であるマスタークオだった。


クオは、まだ信者たちを追いかけようとしているメイカの身体に向かって、彼女と同じ力――オーラを放つ。


すると、その光はまるで鎖のようにメイカに絡みつき、彼女の動きを強制的に封じた。


「なにすんだよジジイッ!!」


それでも無理矢理に拘束から逃れようとするメイカを担ぎ、クオは宙に手を翳して開いた空間へと入ってその場を去っていった。

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