#394
ソウルミューはあんぐりと口を開けているバーバリーの顔を見つめながら、軽やかにステップを踏んで踊りまくる。
「よく見てろよ。こいつがディスコミュージックのダンスって奴だ!」
先ほどバーバリーにやられた攻撃で口から血が流れているが、ソウルミューはそんな傷など感じさせない華麗なダンスを披露していた。
唖然していたバーバリーもハッと我に返り、踊りまくるソウルミューを睨みつける。
「何をしている?」
「見てわかんだろ? アース·ウィンド·アンド·ファイアーを踊ってんのさ。おッ! もうすぐコーラスが来る。はいブライダルッ!」
踊りながらブライダルへ声をかけたソウルミュー。
ブライダルはステップこそ踏んでいなかったが、ふらつきながらも歌い出す。
「バディヤ~ セイ ドゥ ユーリメンバァ~ バディヤ~ ダンシング イン セプテンバァ~」
「いいぞ。完璧なハイトーンボイスだ! ネヴァー ワズ ア クラウディ ディィィィ~!!」
ブライダルに合わせて再び歌い始めるソウルミューに、バーバリーは声を張り上げる。
「だから貴様は何をしてるッ!」
「お前の注意をオレに向けてんだよ、バカ」
ソウルミューがそう言った瞬間――。
バーバリーの両手がボトッと地面に落ちた。
彼が、踊るソウルミューに気を取られた
切断された手の傷口から噴き出す血に戸惑うバーバリーの目の前では、落としてしまった神具シストルムを拾おうとするダブの姿が見える。
そんな彼を見たバーバリーは必死の形相となった。
「やめろッ! 今神具をコントロールできるのは私だけだ! それ以外の者が掴んだら――ッ!」
叫ぶバーバリーを無視して、ダブは体鳴楽器の柄をガッチリと握った。
すると、神具シストルムから発せられる光にダブが包まれていく。
そして、その光はやがてダブの体の内側から、まるで彼のことを破壊しようと輝き出した。
全身からボロボロと光が舞い、次第に崩れていくダブ。
バーバリーは彼からシストルムを奪おうとするが、放たれる光によって
「おいおい!? これって状況が良くなってんの!? それとも悪くなってんの!?」
「後はダブの精神力にかけるしかない……。私たちにできるのは、ここから彼を励ますことだけだ」
ミウムは、喚くブライダルを宥めるようにそう言った。
だがブライダルから見るに、ダブでは暴走したシストルムを抑えられる気がしない。
ミウムとブライダルが見守る中――。
ダブの意識は神具シストルムへと向けられていた。
彼は暗闇の中でシストルムへと声をかけ続けている。
「シストルムッ! 僕だよ! ダブ·レイヴェンスクロフトだよッ! 君のことを皆で助けに来たんだ! お願いだから返事をしてッ!」
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