#386
ブライダルがソウルミューとダブを見ながらニヤニヤと笑っている。
「ねえねえミウム。なんかあの二人ってさ。イイ感じじゃない?」
「イイ感じ? イイ感じとはどういう感じだ?」
「あんた、そのぐらいわかってよ……。振った私が悪いみたいになるでしょ」
ブライダルが苦い顔をしてそう言うと、そこへルーツーが会話に入って来る。
《イイ感じてのは、好ましい印象を受けるさま、よい雰囲気が出ているさま、肯定的に評価できるさま――って意味だってデータバンクに入ってるぜ。他には恋人同士のような仲睦まじい雰囲気ってのもあるな》
「ルーツー。今ブライダルが言ったものは、その四つの中からどれに当てはまるんだ?」
《最後の奴だな。ブライダルはソウルミューとダブがくっ付くのを楽しんでいるのさ。そういうのを腐女子っていうんだぜ》
「また私の知らない言葉が出てきたな。本当にブライダルと話しているのは勉強になる」
《ほとんど俗語みたいなのばっかだけどな》
真面目に言うミウムと二ヒヒと笑うルーツーに対し、ブライダルは苦虫を
「あんたとガールズトークをしようした私が馬鹿だったよ……」
「早速また知らない言葉が出て来たな。ルーツー、今ブライダルが言った――」
「もうやめろッ! ほら、敵さんもいっぱい見えて来たよッ!」
ジェットパックで飛んで進んでいると、前から武装した
二人と同じように飛んで進んでいるソウルミューが、ダブを自分の後ろへと下がらせる。
「お前らも下がれッ! ここはオレが前にって……あれ?」
ソウルミューが勇んで声を張り上げたが、ミウムとブライダルはジェットパックで信者たちの集団へと突っ込んでいくと、ブラスターハンドガンとレーザーガトリングガンで撃ち殺していく。
その様子はまるで古いシューティングゲームのようで、信者たちが悲鳴をあげるよりも先に彼らを殺していった。
「本日はレーザーの無料配布を行っていま~す♪ 順序よく並んで、皆サマのご協力お願いしま~す☆ なんてね」
楽しそうに信者たちを撃ち抜いていくブライダル。
ミウムも彼女に続いてガトリングガンで信者たちを狙い撃つ。
「うん? 無料配布なのかこれは? 言葉として使い方が間違っている気がするが?」
《気にしないほうがいいぜミウム。あいつ、こないだソウルミューにおしゃべりな傭兵の真似でもしてろって言われたもんだから、ちょっと
「よくわからんが、そういうものなのか?」
ブライダルとミウムのジェットパックでの華麗な攻撃によって、蟻の大群のようにいた
二人の後を追うソウルミューとダブは、倒れた信者たちの死体を見ながら、その顔を青ざめさせている。
「やっぱりこの二人は強過ぎる……。なんで共和国はこの二人をハザードクラスに選ばないんだろう……」
ダブがそうブツブツと言いながら飛び進んでいると、横に並んでいるソウルミューも独り言を呟く。
「もう全部あいつら二人でいいんじゃないかな……」
そのときの彼の表情は――。
命を懸ける覚悟で来たにもかかわらず、もはやブライダルとミウムがすべての敵を倒していってしまうことへのやるせなさを感じさせるものだった。
そんなソウルミューを見たダブは、自分の存在意義が揺らいでいる彼のの肩を優しくポンッと叩いた。
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