知りたがりニーニャ3
お昼時。
栄斗は生徒会の仕事があるからと弁当とノートを抱え、生徒会室へと向かっていた。
「最近仕事できてなかったからなぁ…頑張らないと」
最近は魔法少女の方のすることが多くて生徒会の仕事が二の次だった。
忙しいと言っても、エンジェフラワーに会えるのは金曜日だけというのは変わりはない。
もう少し会えたら良いのだけれど…そう内心苦笑いする。
廊下を歩いていると、遠くに銀髪の髪の人が見えた。
思わず栄斗は瞳を開く。
「昴くん…?」
思わず彼の名前を呼ぶ。
零れ落ちたというのが正しいかもしれない。
はっと我に返って栄斗は彼から死角になるように、咄嗟に壁へと己の身体を隠した。
息が荒くなる。
身体が体温を無くしたかのように冷たくなった。
手に持っていた弁当とノートを胸元で強く抱き締めれば、その場へとずるずると座り込む。
顔が青くなった。
身体が震えているのか、歯がカチカチと音を立てる。
栄斗は、落ち着こうとゆっくりと深呼吸をする。
その場に小さくまるまった。
「謝らないと…いけないのに………僕は君に顔を合わせる決心が着いていないみたいだ」
ごめんなさい
そう、心の中で小さく呟いた。
栄斗の周りの空気が冷たく、気温が下がった気がする。
「僕はなんて臆病なんだろう」
今にも泣きそうな声で呟いた。
鼻の奥がつぅん、とする。
その場から栄斗が立ち上がれたのは、昼の終わりを告げるチャイムがなった頃だった。
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