五十四章 花びらの中でバッラーレ
温室へと着いた。
ギィと彼女にとったら重く感じる扉を開けば、温室特有の生暖かさがジャック・ドロップを包み込む。
ジャック・ドロップは瞳を細めつつ温室の奥へと向かった。
時折咲いている花々にこんにちはと話しかけながら歩いた。
木々をかき分ければ、白い机が目に入る。
クッキーや飴玉、マシュマロが転がっている机の上。
薔薇の花に囲まれた世界。
視線を少し上にあげれば、照れくさそうにお互いに顔を別方向に向けたエイトとエンジェフラワーの姿があった。
「あれー?ボク三番目?結構早く着いちゃったな〜」
そう楽しそうに鼻歌を歌いつつ決められた席へと座る。
実は、三年生の魔法少女の席は決められている。魔法少女になった時に、お互いに決めあったのだ。
だから、ジャック・ドロップも決められた席へと座った。
エイトとエンジェフラワーへとジャック・ドロップは視線を向ける。
彼女達の気まずそうな姿にこてん、と首を傾げた。
「もしかして邪魔しちゃったかな〜?」
そうだったらごめんねとクスクスと笑う。
そんな彼女の反応にエイトは首を横に振った。
「そ、そんな事ないよ。丁度みんなの事待つためにエンジェとゆっくりと話していただけなんだ」
ね、エンジェとエイトがにこやかに微笑みかける。
しかし、動揺しているのか、そばにあったマシュマロの入った瓶を肘で倒した。
慌てるエイト。
そんな姿にエンジェフラワーが楽しそうに笑う。
「もう、エイトちゃんったら…慌てすぎですよ」
見ていて飽きないと楽しそうに笑う。
そんな彼女たちの姿をジャック・ドロップは羨ましそうに見詰めていた。
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