特別編 幸せ・ド・メリー

とある日の温室。

エイトは辺りを見渡しながら胸元に抱え込んだ紙袋をぎゅ、と握りしめる。

「何してるんですか?エイトちゃん」

後ろから突然かけられる声にエイトは思わず肩を跳ねさせた。

大袈裟な反応にくすくすと後ろから笑い声が聞こえてくる。

「あ…エンジェ」

お疲れ様と言いつつも抱え込んでいた紙袋を後ろへと隠した。

「はい、お疲れ様です。ところで…なにか私に隠してませんか?」

慌てるエイトにエンジェフラワーはふふ、と笑う。

エイトの後ろへと周り込めばエイトが持っていた袋を指先で突っついた。

「これなんですか?」

エンジェフラワーが問掛ける。

「え、あ…これは…」

思わず慌てるエイト。

今日はクリスマス。

袋はプレゼントであることは明白だ。

エンジェフラワーは頬を膨らます。

「エイトちゃん誰かに渡すんですかこれ」

正直嫉妬した。

エイトにプレゼントを貰える人が羨ましいと思ってしまう。

じ、とその袋を見つめた。

「……に」

エイトが小さな声で呟いた。

彼女の方をエンジェフラワーは見つめる。

エイトが袋で顔を隠しながら言葉を紡いだ。

「その、エンジェに……クリスマスプレゼント…したく、て」

徐々に顔が熱くなる。

その言葉にエンジェフラワーもじわじわと頬を赤らめた。

「エ、エイトちゃん…」

どうしたらいいか分からずその場に思わず立ち尽くす。

理解が追いついたのか込み上げてくる嬉しさ。

思わずエイトを思いっきり抱きしめた。

「わ、エンジェ!」

抱き締められれば声を上げる。

嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとうございます!大好きですよ、エイトちゃんのこと」

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