煌めきは天から降り注ぐ2
シモンが温室で、ステラ・ザ・テディアイとお茶をしている頃。
学園の図書館に在舞は来ていた。
校舎に付属された図書館。
一般の人も出入りできるらしいその図書館は大きく、この地域では一番人の出入りの多い図書館なのかもしれない。
しかし、普段本を読まない在舞が図書館に来ることは余りない。
ただ、今日はどうしてもしないといけないことがあって来た。
学校課題の調べ物と言った方が正しいかもしれない。
ノートと教科書を両腕で抱えながら在舞は図書館へと足を踏み入れた。
ゆっくりと辺りを見渡す。
ひとまずはお目当ての本を探そう。
そう思っていた。
しかし、余り図書館に来ることがない在舞にとって、どこに何があるのか分からない。
「困ったな…」
小さな声で呟いた。
何も分からない。
そもそも、なにを調べたらいいのかもイマイチ在舞は分かっていなかった。
どうしようかな。傍にあった本棚をぼんやりと見つめた。
文字の羅列に頭が痛くなってきた。
顔を顰める。
「大丈夫…?」
背後から声を掛けられた。声の主の方を見る。
黄色い瞳。片方の瞳は何故かガーゼで覆われている。
ひとつに束ねた銀髪の長い髪が窓からの光に当たり、キラキラと輝いている。髪を括っている紅いリボンがゆらゆらと揺れていた。
「え…あ……と…誰?」
知らない人。思わず無礼極まりないもなく問いかけた。そんな在舞の姿。目の前の彼は気にせずに、にこにこと穏やかに笑っている。
「驚かしちゃってごめんね。僕は
そう、自己紹介すれば玲は手を差し出した。
その手を取ろうか取るまいか。在舞は警戒したように玲を見つめる。
「そう、よろしく…えっと、僕は紡在舞」
小さな声で呟いた。一歩後ろへと下がる。
本棚へと寄りかかった。
小動物のように警戒した姿。
そんな姿に玲は可愛いなと笑う。
「大丈夫、そんなに警戒しないで。僕は誰はね、放っておけないんだ。だから、もちろん君のことも」
だから、頼らせてくれないかな?
そう首を傾げる。
「………変な人」
思わず小さく呟いた。
その言葉に玲は笑う。
「ふふ、よく言われる。でも、僕は君を助けられるなら変な人でも構わないよ」
だから、助けにならせてくれないかな?
そう、問いかけた。
懸命に見つめる瞳。
そんな姿に在舞は警戒が出来るわけがなく、よそよそしく玲へと手を差し出した。
「そう、変な人。よろしく。えっと、じゃあ……頼らせて、ほしいかも」
玲へと差し出した手。
その手に嬉しそうに玲が目を輝かせた。
在舞の手を両手で包み込む様に握り締める。
「うん!宜しくね!アルくん!」
満面の笑みで笑う彼の姿。
そんな彼の姿に在舞は少しだけ口元を緩めた。
暖かな光が図書館に差し込んでいる。
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