それは紅いプリマドール5
話が終わればメアリーは思わず一筋の涙を流す。
「あ、ごめんなさい……」
涙を流して恥ずかしくなったのか顔を隠した。
そんな彼女の姿にユキは懐に入れていたハンカチを差し出す。
「大丈夫ですよ。辛かったんですね、リリー先輩が変わられて……」
ハンカチで目尻を抑えつつもこくり、とメアリーが頷く。
「僕も、実はずっと兄さんが行方不明なんです。だから、もしあの時兄さんの中で何かが変わってしまって、それのせいで家から出ていってしまったとしたら………僕もメアリー先輩と同じ事を願うかもしれません」
ユキが視線を下に落としてぎゅ、と衣服の裾を握り締める。
しぃん、と沈黙が流れた。
きらきら、と光が空から降り注いでいる。
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