大志を抱く事が出来なかった少年は7

トン、と地面へと足を付ける。

花の咲いた瞳を外へと向ければエンジェフラワーは顔を顰めた。

「嫌ですねぇ、雨は……誰にも会うこと出来ないじゃないですかぁ……」

これじゃあいつもの昴の方と一緒です……と口を膨らませた。

エンジェフラワーが頭に飾らた宝石の花弁を一枚引きちぎる。

それを尖らせれば部屋に飾られていたダーツの的へと投げつけた。

ズトン、

鈍い音が部屋に響き渡る。

「一人部屋は便利ですねぇ……去年や一昨年の大人数部屋は、エンジェは耐えられませんよぉ……」

そう言いながらエンジェフラワーのすがたで寝台へと寝転がる。

「あーあ、早くこの姿でいじめてきた皆に復讐したいですねぇ……ね、昴くん?」

そう言いつつ心の中の自分に問いかける。

ガタガタ、と強風のせいか窓が揺れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る