イカロスは太陽に出会う事は出来なくて5

最低だ。

逃げ出してしまった。

心では大丈夫だと言い聞かせていたのに身体はゆるしてくれなかった。

杏果は大丈夫だろうか。

そればかりが脳裏に過ぎる。

ポツポツ、と降る雨にうたれながら、璃音はふらふらと学園へと向かっていた。

璃音は人を傷つけてしまった。

傷つけることしか出来なかった。

己の惨めさに思わず学園の敷地内を囲う大きな塀へと拳を振り落とす。

その場に崩れ落ちた。

「くそっ」

思わず言葉をこぼした。

こんなにも弱い自分が嫌になる。

「アナタの強い想い聞き届けたよ☆」

そんな声がどこからともなく聞こえた。

ふわり、と茶色い髪が、桃色のスカートが宙を舞う。

璃音の元へとメリルが舞い降りた。

そして崩れ落ちた璃音へとメリルが手を差し伸べる。

「ねぇ、キミ!魔法少女にならない?」

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