クリームソーダは口の中でぱちぱちと跳ねて2

ユキ達一年生の魔法少女は本の中へと来た。

不思議の国の本はと確かに、名前からして不思議で、

木が歪んでいたり。その木になってる林檎が紫色に染まっていて、とても毒々しかったり。

植物だって、見たことの無い歪んだ形だった。

「ワ、ブキミ」

ユアの口から思わず零れ落ちる言葉に一同、同意する。

「思ったよりも不思議な空間ですね……」

ユキが苦笑いをする。傍にある不気味な形の花へと手を触れて見ればサラサラと砂のように消えていった。

「風化したね」

シモンが興味深そうに顎に手を当て花を見つめる。

どういう仕組みなんだろう、とシモンも花へと手を触れれば風化する花に楽しそうに目を輝かせている。

「そういえば、シモンくんって生物学好きでしたね……」

思い出したようにユキが呟いた。

「シモン、ショクブツスキ、ワタシシッテル」

うんうん、とユアが頷く。

「へぇ、そうなんだね。リメ、知らなかったや」

初耳だ~とリメが笑う。

あ、となにか思い出したのかユアがくすくす、と笑う。

「シモン、ツイデニ、カワイイモノスキ」

そしてぴん、と人差し指を立てた。

「あ、そうなんですか」

知りませんでしたとユキが瞳をぱちくりさせる。

「へぇ、意外~」

リメがそんな所もあるんだね、とシモンの方を向いた。

「おい、ユア、余計な事言うな!」

話を耳で聞いていたシモンが思わず顔を真っ赤にしてツッコミを入れる。

「そういえば……」

ユキが思い出したように呟いた。

「シモンくんって、最初にあった時よりも話し方が標君ですよね」

砕けてません?

と首を傾げて問いかける。

痛いところを突かれたのか、固まるシモン。

「や、ほら、シモンの時はな、ボクの正体知ってるのユアだけだったしさ、キミ達は知らなかったわけだし……バレると思ってなかったし……」

「ツマリ?」

「バレたからいいかなって……」

思ったんだよね……とシモンのいつもの口調に戻りながら恥ずかしそうにシモンが呟く。照れくさかったのか、傍にある花はシモンの手によって全て風化されていた。

「シモン、ハナ、カワイソウ」

じと、とした瞳をユアはシモンへと向ける。

「……悪い」

ユアの一言で冷静になったシモンが花から手を離した。

「ところで」

ユキが辺りを見回す。

「ドリームイーターはどこでしょうか」

ジャングルのように生い茂った木々。

空を見上げてもドリームイーターが居た痕跡は何処にもない。

「本当に居るのか……?」

シモンが紫色の草むらを掻き分けてドリームイータの痕跡を探す。

「ドリームイータ、イナイ……」

ユアが辺りを見渡しつつ呟く。

「今回不発だったりするのかなぁ」

リメが首を傾げた。空はどんよりと紫色に染まっていてとても不気味だ。

シモンが首を横に振る。

「それは無いな……ドリームイーターがいないと世界には入れねぇし……何よりもメリルさんが持ってきたんだから」

だから、絶対どこかにいるはずだ。

シモンには確信があった。

メリルさんが持ってきた本でドリームイーターがいなかったという不発は無い。

絶対にどこかにいるはずだ。

でも、何故だろう。

分からないけれど胸騒ぎがした。

空を見上げる。

紫色に染まっていた空が段々と赤色に滲んでいた。

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