去る鳥後を追わず追いかけることを知らず3
「おーい、双葉、月見、先輩みたいな人が呼んでるぜ」
遠くで金髪のチャラ、とした同級生が璃音二人を呼ぶ。
なんだろうかと教室の外へと向かった。
途中鞄を落とした同級生の佑キーホルダーを拾おうとしたら凄い形相で睨みつけられた。キーホルダーを落とした拍子に一瞬遊園地で見た少女が見えた気がしたが気の所為かもしれない。ひとまず、気にせずに先輩の元へと向かう。
黒い髪、少し高めの身長に丸い眼鏡。いかにも大人しそうな見た目の先輩。
初めて見る先輩だった。
見知らぬ先輩が己達に一体何の用だろうか。
きょとんとしていれば、後ろからひょこり、とゆうきが現れる。
「お疲れ様です、お二人共」
「お疲れ様!子音もいるよ!」
「おっ、ゆうきに子音じゃねぇか。おつかれさん。その先輩はゆうきと子音の知り合いか?」
標が問いかける。しかし、ゆうきも子音も首を横に振った。
「いえ、さっき知り合いました」
「知らない人!」
ますます意味が分からなかった。混乱したのか首を捻る標と之彦。
「えっと、こんにちは。
初めましてと葵と名乗る先輩が笑う。ギリギリ聞き取れる声の大きさで思わず声が小さいと驚いてしまう。
「えっと、何の用ですか、嶋津先輩……?」
之彦が葵に問いかけた。
にこり、と葵が笑う。
「着いてきたら分かるよ」
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