第75話カレー南蛮うどんと、心春の必死
翼と心春は高井戸駅近くの、昭和風レトロな蕎麦屋に入った。
注文したのは、二人とも、カレー南蛮うどん。
翼
「カレー南蛮の時は、他に一品頼めない」
心春
「当たりです、それ、わかります」
翼
「いい香りがして来た、元気が出る感じ」
心春
「よく考えましたよね、こんな日本とインド?その折衷みたいな料理」
カレー南蛮が運ばれて来た。
翼
「うん、いい感じ、カレーも美味しい」
心春
「蕎麦より、うどんのほうが合うかなあ」
翼
「人の好みもあるけれど、うどんのほうが好き」
心春
「ニシン蕎麦より、ニシンうどんが好き、そんな人もいます」
翼
「昔、実家でカレー湯葉とか、カレーきしめんを作った」
「あれはあれで、食べられる味」
「店には出さないけれど」
心春
「面白いことしますねえ、参加したかった」
翼
「食いしん坊で、料理も好きなんだ」
心春
「はい、それで丸っこいんです」
そこまで言って、顔を赤くする。
「とてもセクシーとまでは言えません」
翼は、返事に困った。
「あまり気にしてもねえ」
「体型は、変化することもあるし」
「そもそもの骨格、遺伝もあるし」
心春は翼の顔をじっと見る。
「美少女アイドルみたいな女の子が好き?」
翼は、また返事に困る。
「いや、外見だけ良くても、中身が酷いと意味が無い」
「好きとか嫌いとか、感性が合わないと」
「無理やり合わせたくもなく、合わされるのも、好まない」
翼も、心春をじっと見る。
「心春さんは、美少女で美人です」
「お肌も美しい」
「話をしていて、感性も合う」
心春は、耳まで赤くなった。
「あの・・・ほめ過ぎです」
「あかん・・・眠れなく・・・」
「意地悪言わんと・・・」
カレー南蛮を食べ終わり店を出ると、心春はおずおずと手を伸ばす。
翼は苦笑。
「ここからも、道案内?」
その翼の手を、心春はしっかり握る。
「ずっと道案内してください」
「迷子にしないでください」
翼は、困った。
「とりあえず、アパートまで」
心春は、ぴったりと身体を寄せた。
「却下します、ずっとです」
翼は、ますます困惑を深めている。
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