第101話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(19)

「ハチ・・・そのうろたえよう・・・そなたまさか」

「え?」


「まさか、カノジョとやらがいないのか?」


「・・・ああ」


 うう、我ながら、消え入りそうな声で情けないのう。

 若干のうしろめたさがあって、彼女を直視出来なかったが・・・こちらを凝視している視線を感じる。


「そうなのか・・・カノジョとは結婚以前の特定の交際相手のことだったな。『男たる者の甲斐性を表すバロメータ』だとどこかに書いてあった」

「・・・傷を抉らなくていいから」


「・・・えーと・・・そなた、もしかして・・・いままでも、交際経験が全くないのか?」

 おい!

 少しはフォローしようと思わないのか?


 だが俺の心の叫びも届かず、気まずい間が・・・。

 ・・・・


 クレオはすっと立ち上がって、そのまま隣にやってきて・・・俺の手をそっと握る。


 ん?

「ハチ? いまいくつだ?」

 なんだよ、唐突に。


「・・・おまえのイッコ下の十九歳だよ」

「妾と同じような年でせっかくこの時代にいるのに、生涯交際経験ナシとはな・・・」

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