第97話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(15)

 一方の妾・・・といえば、本やTVをしきりと鑑賞して、現代の情報を仕込んでいるところ。

 この時代に馴染むためには、本腰を入れて取り組まねば。

 ハチに教えてもらったとおりに、TVの使い方とかタブレットの使い方とか、原理は分からないまでも、すでに使いこなせている。


「しかし・・・この時代は何と娯楽の種類が多い事か!」

 感心しているんだか、驚いているんだか。

 独り言の割には大きな声でぶつぶつと喋っちゃう。

「こんなに娯楽があれば、まあ退屈することは無いであろう。王宮が見世物を用意することも必要ない・・・結構な時代なのだな」

 ふいに、隣でPCに向かって仕事をしているハチが聞いてくる。

「その・・・結構大変なのか? 用意する見世物って、ほら、戦車レースとか拳闘とかなんだろう? ローマ帝国のイメージだが」

「ああ、そんなものだ。ます、カネがかかる。まあ奴隷を使うものはそうでもないが、開催するための手間暇もかかるし、イベント中での飲食の負担がばかにならない」

「へえ、臣民には飲食も無償提供されるのか・・・そりゃ王宮も大変なんだな」

「そうだ。だが妾の時代ではそれも当たり前でな、つまり『民を統べる者の高貴なる義務』だ」

 現代風に表現すると、『ノブレス・オブリージュ』というやつ。


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