第77話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(36)

 恐ろしく長命だし、手は冷たく全体的に陰気くさい。

 肌は青白く、顔も細長くて、目は顔のサイズに不釣り合いなほど大きい・・・とにかく交戦した経験で言わせてもらえば、気色悪い連中なのだ。

 本当に我々と同じ人間なのだろうか。


 だが、それより・・・

「ハチ・・・いや『大王の血脈』殿」

 やはり・・・詫びねばな。


 だが、彼は予想に反して、

「クレオ! セクメトナーメンも。さっきは・・・何と言っていいか・・・本当にありがとう。

 俺は、二度死にかけたところから戻ってこれたよ」

 彼は何と、笑いながら妾たちに礼を言うではないか。

 おもわずセクメトを見ると、彼女もバツが悪そうだ・・・おそらく妾と同じ思いに違いない。

「いや・・・ハチ。妾たちが護衛についていながら、恐ろしい思いをさせてしまって・・・申し訳ない」

「西郷殿、わたしからもお詫びします・・・天下のマケドニア騎士団のナンバーワン・ツーが揃っていながら、危険な目に遭わせてしまいました・・・」


 セクメトも俯いて、明らかに反省の色を浮かべている。

 それもそうだ、妾とて同じ忸怩たる思い。

 なんといっても、世界最強魔術師がふたりも彼を直衛しておきながら、敵に近接戦闘を許すとは!

 あとで、セクメトと反省会を開かねば。


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