逆へ (闇鍋三昧より)


腕時計の針に指で触れる。

隔てるガラスは当初からなく、

針は動きを止めている。

何の苦労もなく針を動かせるので、

逆へ逆へと回していく。


時間よ戻れ

あの時に戻れ

──君が生きていたあの時へと


君が買って、渡せなかった、

私の大切な腕時計。

時を刻むことができないなら、

それくらいはしてくれよ。

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