第106話献身

朝霧も、一晩中一睡もせず春陽を探し自身もかなり疲弊していた。


しかし、春陽の体をおぶり川沿いを山を下り近くの村落に助けを求める事にした。


その間朝霧は、さっきの春陽にした口付けと、幼い頃からの春陽への恋情を遂に告白した事を何度も思い出した。


そして、自分達の荒清村に帰ったら春陽の父に、自分と美月姫との結婚を破棄したいと申し出るつもりでいた。


それが回りを巻き込み、簡単な事では決してない事は充分分かっていたが、もう、朝霧家からの絶縁は覚悟の上だ。


そして、もし、春陽の家からも追放されるなら春陽を連れて、一緒に観月家を出るつもりだ。


朝霧には、静かで確固たる自信があった。


自分の武者としての技量にも、朝霧家、観月家を出奔しても、他に頼れる人脈にも。


この戦乱の世でも、春陽と自分位、いくらでも食べさせていける。


やっとの思いで辿り着いたその村は、春陽の村とも親交が深く、春陽と朝霧は、村の長の屋敷に丁重に迎え入れられた。


まずは、びしょ濡れの春陽を、屋敷の使用人男二人が客間の畳の上で着替えさせようとした。


しかし、朝霧は、自分もまだ褌だけの姿にも関わらず、思わず口ばしってしまう。


「触らないでくれ!!!」


驚いた使用人達に、次には朝霧はハッとして、申し訳なさそうに言った。


「つい、大きい声を、すまない…着替えは俺がやる。申し訳無いがタライに湯と手拭いを頼みたい。体を拭いてやりたいんだ…それと、飲み水も…」


使用人達は頷き、すぐ様部屋を出た。


朝霧は、春陽を誰にも触らせたくなかった。


この後、医師が来て春陽を診るだろうが、本当は、医師にですら春陽の体を触らせたく無かった。


湯と手拭いは、すぐに来た。


そして、素早く小袖と袴を借用し着た朝霧は、使用人達に退室して貰い、手拭いで春陽の体を丁寧に清め始めた。


春陽の顔から、その生きている姿を確かめるように、慈しむように拭いていく。


そして、首から胸へいき、まだ濡れて肌に貼り付く小袖を脱がせる。


朝霧や春頼の厚い筋肉には到底及ばない、薄っすらとだけそれの付いた、しかし、よく絞りこんだ上半身が現れた。


だが、朝霧は、こんな状況にも関わらず心拍が上がったのを感じ、首を振り、己を正し拭き始めた。


春陽の体温が、かなり冷たい。


一刻も早くしてやらねばならなかった。


それでも、春陽の胸の突起物とその回りの輪がやけに艷やかで、朝霧の目はそこを意識せざるをえない。


そして、いざ、突起物の辺りを拭き出すと、意識が無い春陽から僅かに吐息が漏れ、朝霧の褌の中が熱くなる。


こんなに朝霧も体が疲れているはずなのに、疲れれば疲れるほど、気分がおかしくなっていく。


(こんな時に何を考えている!ダメだ!ダメだ!)


朝霧は、男の性(さが)を恨みながら、心の中で自分自身を叱咤し邪念を振り払いながら尚拭き続け、次に下半身にいく。


しかし、濡れた袴と褌を脱がせ春陽の剥き出しの下半身を見た瞬間、一気に朝霧の下半身が反応した。


(こんな時に!馬鹿な!しっかりしろ!)


朝霧は、尚も激しく己を叱咤し、春陽の足のつま先から拭いていく。


朝霧の、息と鼓動が上がるのを必死で押さえながら。


それでも…


春陽は、爪の先からふくらはぎから太もも、何から何まで、その全てが滑らかで白く美しく…


朝霧は、まるで神の下僕のように、その一つ一つを至宝のように扱い拭いた。


だが…


朝霧の下半身は、褌の中心に大きな膨らみを作ってしまった。






















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