ブルドッグのポチ

 うめばあちゃんは持ってきた藍色のヘルメットをかぶり、シールドを下ろし、シートベルトをつけた。


「ポチ行くよ、ついておいで」


ワン! ──愛犬のブルドックのポチがスケボーを乗って現れた──これもけんじいちゃんの作である。

 犬が電動機付きスケボー? ──なぜかというと、これじゃないとうめばあちゃんについて行けないからだ。


「さて行くかい」


ワン!


「いってらっしゃい」


ガン!


 うめばあちゃんが足置きについたブレーキを解除する。


ブン!


 右の腕置きについている車椅子のスロットルをあげた。


ういいいいいいん!

 超電導モーターが唸りをあげる。


キュルルルルルル!


 大きなタイヤが回転し、倉庫で煙が漂う。

 車椅子の発進だ。


 左の腕置きについているレバーで方向をかえる。


ガガガ!


 倉庫を出ると横滑りしながら表へ出て行く。ナビコンピュータは運転アシスト機能も装備しているので、安全性はバッチリだ。


ワン!


 ポチも負けじとスケボーのスロットルを足で押すと、

ガガガ!


 前輪を浮かび上がらせて一目散についていく。


「ガハハ! 相変わらず派手だねえ」

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