第43話 第二階層へ
それから俺たちは毎日迷宮にアタックをし続ける日々を送っている。
想像していたよりも迷宮が成長していたことがわかったため迷宮の入り口周辺には冒険者たちを相手にする商店や宿泊施設が作られ、俺たちはそこを拠点に活動を続けているのだ。
宿泊施設といっても天幕が張られているだけなのだがそれだけでも十分にありがたい。
それと冒険者ギルドの出張所まで開設されたおかげで迷宮探索の成果をいちいちサバンテに戻らなくても報告できるようになり、回収した魔石の納品手続きも冒険者ギルドが全て代行してくれるようになったのだ。おかげで俺たちはただ迷宮の中で魔物を倒してその力を削ぐことにだけ集中すれば良くなり本当に助かっている。
そうして俺たちが迷宮に挑み始めてから一週間が経過した現在、もう最初の階層はほとんど制圧したと言っても良い状況になった。
通路はおろかあのドーム状の場所にもほとんどゴブリンが現れなくなったのだ。
そのため、そろそろ次の階層を攻めても良い状況になったというのがトーニャちゃんたちの考えだ。
それから俺個人の状況を説明すると、これまでの特訓が実を結んだのか実戦を経験したおかげなのかはわからないがいくつかのステータスがアップし、今のステータスはこんな感じになている。
────
名前:ディーノ
種族:人族
性別:男性
職業:冒険者(E)
年齢:13
ギフト:ガチャ
ステータス:
HP:1/1
MP:2/2
スキル:
剣術:2
体術:1
水属性魔法:1
火属性魔法:1
────
まずは
周りの冒険者たちに聞いてみたところ、戦闘系のギフトを持っているのであれば最初から適したステータスは少なくとも 5 はあるそうなのでこの程度では足元にも及ばないようだ。
だがそれでも他の冒険者たちの足を引っ張らずに戦えているのは間違いなくトーニャちゃんのおかげだ。ステータスには現れない素の肉体をきちんと鍛えるという事がどれほど大事なのかがよく分かる。
それともう一つアップしたのは MP だ。これはきっと毎日寝る前に瞑想をし、それから小さなコップに魔法で水をいれて MP を使い切ってから就寝しているおかげのような気がする。
寝ている時に MP 切れになって問題ないのかというツッコミがあるかもしれないが、俺には攻撃魔法も MP を消費する強力なアーツもないので問題ない。
いや、まあ自分で言っていてちょっと悲しくはなるのだが、ないものは仕方がない。きっちりとスキルのレベルを上げて、スキルに付随する攻撃魔法やアーツを使えるようになりたいものだ。
さて、迷宮の事に話を戻そう。そんなわけで今日、俺たちはいよいよ次の第二階層へと足を踏み入れる予定だ。
最初の階層、つまり第一階層は自然に湧くゴブリン以外の溜まっていたゴブリンは駆逐済みのため、これからは浄化作業に入るのだ。
浄化作業というのは聖水を迷宮の壁や天井に塗りこんでいくのだ。町の神殿で作られた聖水は迷宮の力を弱める効果があるらしく、そうして聖水を塗りこんで神官様が祈りを捧げるとそこからはしばらくの間魔物が湧きづらくなるらしい。
これは領主軍と神殿の担当で、戦闘能力を持たない神官様を領主軍が総出で護衛するという形になる。ちなみに冒険者が護衛をしないのは神官様が貴族だからだ。
さすがの領主様も貴族である神官様の護衛を使い捨ての冒険者に任せるというわけにはいかないらしい。
とまあ、そんなわけで俺たちは再び迷宮の中へとやってきた。
「それじゃあ、階段を降りるわよン」
そうして俺たちは例のホールの奥で発見した階段を降りていき、そして長い階段を下りきると第二階層へと到着した。
そこは長い一直線の通路になっており、通路の左右には灯りが灯されている。
「あらン?」
トーニャちゃんが上を見て険しい顔になった。
「ストップよン」
「ぐあっ!」
トーニャちゃんが叫ぶのと先頭を歩いていた冒険者がうめき声をあげたのはほぼ同時だった。
そして彼はそのまま地面に崩れ落ちる。
よく見てみるとなんと彼の太ももに矢が刺さっている!
それを見たリカルドさんが盾を構えては庇う様に前に出た。そして崩れ落ちた冒険者のすぐ後ろを歩いていた冒険者が倒れた彼を
「撤退よン!」
トーニャちゃんの指示で俺たちはすぐさま階段へと退避する。
退避する前にちらりと上を見ると、なんともいやらしいことに通路のかなり上――およそ十メートルくらいだろうか?――に弓を構えたゴブリン、そして杖を持ったゴブリンが待ち構えていた。
つまりこの第二階層は天井の高い二層構造になっており、俺たちは下の通路を、そしてゴブリン達は高いところから俺たちを攻撃し放題というかなり攻略に骨の折れそうな構造をしていたのだ。
こうして俺たちは第二階層をほんの数メートル進んだだけで撤退を余儀なくされたのだった。
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