第55話番外地.アルカンターラ軍帝都守備隊1

「なに!所属不明の軍にアルカンターラの町が包囲された!」

一報に驚くロドルフォ将軍。

帝都の郊外、駐屯地本部の建物に早馬が届けたのは衝撃だった。

「何時の話だ!」

「バカな!反乱か?」

「何処の部隊貴族だ!」

「帝国内の貴族の動きは把握済みです、現在大規模に運用している部隊も、貴族の兆候もありません。」

帝国内務省秘密警察と連絡を取っている参謀が報告す。

「現状で皇帝陛下我々に盾突く奴が居るものか…。」

我々アルカンターラ軍は皇帝陛下の盾として帝都とその周辺、主要街道を防衛している。

昨今の冷夏による食糧不足と帝国内に蔓延る不穏な空気により、帝国国内は何時、貴族や農民の反乱が起きてもおかしくない情勢だ。

「直ぐに救援に向かいましょう。」

「いや…。国元にも兵が有る。アルカンターラの城壁は鉄壁だ。そう簡単には落ちん。」

若い騎士の進言にロドルフォ将軍の答えは苦しい。

現在、わが軍は旧帝都まで分散配置されているために集結に時間が掛かる。

纏まった軍団は帝都にしかない。

南からの不逞な輩と、貴族の反乱に対抗する為の配置だ。

特に先の東征で行方不明に成ったマフディ。

その教え子達…”マフディ学派”が市民の共感を得て。

一部の連中が先鋭化している。

「その軍は何処からやって来たのだ…。北か?北西の獣人の反乱か?」

「獣人にそんな元気は無いでしょう、数を減らしたハズだ。」

奴隷商ギルドの出資での獣人狩りは大成功だと報告を受けた。

後は南へ獣人達を運ぶだけの仕事だと聞いている。

残された獣人達も冬を越すだけで精一杯のハズだ。

「北は無いでしょう…。」

北は山脈が連なり軍も人も寄せ付けない。

「東か…。」

皆、黙る。

この場に居る者は前の戦争東征で捕虜に成っていた者も多い。

「あいつ等、あの森を突破して…。」

「いやいや、無いだろう…。現在、王国の都には此方の外交官も居る。魔法王国との関係は悪化していない。ソレにドレだけ国境から離れていると思っているのだ。」

ロドルフォ将軍が否定する…。

王国国境からアルカンターラの都はかなり離れている。

街道上には兵も配置されている。

が、皆の不安は解る。

魔法王国には一人、何でもやりそうな大男が居る。

我々の常識が通用しない大魔法使いが…。

「シャルヴィエール大尉、すまんが配下の兵を終結させ急いで国元アルカンターラに向い情報収集を行ってくれ。」

「はっ!」

俺は今では万年大尉と揶揄されているが、司令部内での仕事振りは評価されている。

皮肉な話だがあの負け戦東征が私の評価を変えたのだ。

「私は伯爵に報告に行ってくる…。」

特にロドルフォ将軍には…。


急いで部隊を集結させたが、集まったのは私の連隊の7割程度だった。

仕方が無い、一部の部隊は他の貴族に張り付いている。

集まった騎兵に訓示を行う。

「これから、国元に向かう、不確定情報だが所属不明の部隊が展開しているそうだ、敵の目的と位置を報告するすのが我々の任務だ。無論、只の農奴の反乱程度ならコレを蹴散らしても問題ない。」

「家で坊主の顔は見れますかね。」

古なじみの万年少尉が質問してくる。

俺の下に付いたばかりに出世できないが、気にもしていない素振りだ。

「すまないが、情勢を調べたら急いで帝都に帰還する。情報がデマなら、アルカンターラで1日程度は休息できるだろう。」

「「「了解!」」」

この時は皆、笑って居た…。

そうだ、もう既に戦争は終わっていたのだ。




(´・ω・`)…。帝国北部工廠の連中がアルカンターラ包囲で驚いて逃げ出し、帝都に報告しました…。


(´・ω・`)…。はだかと国元のアルカンターラ軍は平野で連隊単位以下で戦闘を繰り広げ、はだかのへ団に各個撃破されました。(ナージェスダ・アルカンターラだけが急遽、学院から実家に避難させた。)

(#◎皿◎´)俺から逃げられんぞぃ!(逃走中。)

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