第65話 帰宅

 家への帰り道の途中でカリア達の仮住まいに寄った。翠金貨二枚を渡すと、これでギルドが再開できると姉妹は手を取り合い踊り出さんばかりだった。約束通りカリアだけ抱いて家路を急いだ。他の二人が何か言いたそうにしていたが、ガン無視した。

 家に着く前に川で身を清める事も忘れてはいない。女性は男性の約二倍ほど嗅覚が鋭いらしい。情事の後の匂いなどすぐにバレてしまう。勿論、石鹸は使っていない。それでバレたら目も当てられない。

「ただいま~」

「確保~‼」

 帰宅そうそう、いきなりティアにロープで縛られた。そう言えば、搾り取るとか物騒な事を言っていたな、と思い出す。覚悟していたつもりだが、少し甘かったかも知れない。

「ちょっと待て、これじゃあ。何の為に隣国まで行って金を稼いだか分からん!」

「今は子種が欲しいだけです!」

「今度は帝国まで行きたくなって来たよ!」

「ウルルス、共和国まで足を運んだの?」

「そうだよ。翠金貨三枚と金貨五十三枚稼いで来て、この仕打ちは無いだろ!」

「そんな物より今はご主人様の子種です!」

「俺の子種にそんな価値ねぇよ!」

「師父の賞金額を考えると安いくらいです!」

 何故だろう、味方がいない。二週間家を空けただけなのに……。ティアとロイが妙に仲良くなっている。師弟関係だからだろうか?

「ほら、ベットまで行きますよ」

「俺に拒否権は……」

「「ないです」」

 ばっさり言い切られてしまった。

「ローガンは?」

「あぁ、部屋で赤ちゃん用の靴下編んでました」

「私の分も頼んであるわ」

 ローガンの意外な一面を知った気がする。その間にもティアとロイはズルズルとベットに連れて行こうとしている。

 本気になれば身体強化魔法でロープを引きちぎれるのだが、それはきっと野暮だろう。思わずため息が出る。

「逃げないから、ロープ外してくれない?」

「この方がご主人様の立ちがいいのでダメです」

「師父にそんな趣味が……」

 俺は本当はSなんだけどな、とも言えず。強引に寝室まで連れていかれベットに押し倒される。はぁ、このまま喰われるのか……。

「覚悟して下さい。この二週間ほったらかしで私もロイさんも限界なんです!」

「私を一緒にしないで下さい!」

「じゃあ、そのまま指を咥えて見てて下さい」

「それとこれとは話が別です!」

「じゃあ、私がお手本を見せます!」

「お願いします!」

 これはなんてプレイなんだろう……。お金払ってもこんなプレイは出来ないのでは無いだろうか?

「なあ、ティア。俺、お腹減ってるんだけど……」

「行為が終わったら食べさせてあげますよ?」

「ご飯を人質に取るって酷くない?」

「二週間も家をほったらかした罰です」

「ちゃんと伝言したのに……」

「それはそれ、これはこれです」

 なんだろう物凄く理不尽だ……。




    

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