第45話 被害者の会

「いい加減泣き止みなさいな、うざったいわね」

「もう泣きやんでください……、師匠」

「お前らが言うな……」「その通りです……」

 縛れたままのウルルスは声が掠れ、肌はカサカサだった。拘束されたティアも大声の出し過ぎで掠れている。宿の人間はフェイに金を渡され、縛れた二人の事にはノータッチだった。

「俺の歳を考えろよ、お前ら……」

「一日六回も出来ればまだまだ若いわよ」

「フェイ様、そうなのですか?」

「ウルルスの歳なら一日一回でも多いわよ? 良くは知らないけど……」

「そうなのですね……」

 二人とも色事にはあまり詳しくなかったので、二人ともウルルスが初めてだった。試行錯誤しながらなのでウルルスは逆に興奮してしまった。ウルルスとティアの食事は二人が世話した。世話したウルルスとティアに、ローガンとフェイが母性が湧いたしまったのは秘密だ。

「なら、限界まで絞り取るなよ……」

「無節操な自分の下半身を恨むことのね……」

「ご主人様が下半身がこんなに無節操だとは思わなかったです……」

「……。俺のせいなのか?」

「ウルルスのせいね……」

「師匠のせいですね……」

「ご主人様のせいですね……」

「味方が居ないのは……。何故だろう」

 自分は被害者のはずなのに。解せない。

「ご主人様の下半身が無節操だからですよ!」

「縛られると俺は興奮ちゃうんだよ!」

「とんだ変態野郎ですね! ご主人様は!」

「罵倒するな! 興奮しちゃうだろ!」

 一週間ぶりに拘束を解かれ、ウルルスは安堵のため息を着いた。手首を擦っているとティアが滅茶滅茶睨んで来た。

「待て、俺は被害者だぞ」

「えぇ、だから自慢の息子を切り離すのは、止めてあげます」

 ティア以外の他の三人がゾッとした顔になる。本当に男性器を切り離す気だったと、女性陣はこの時二人は気付いた。

「ティアさん落ち着いて!」

「これ以上ないほど、私は落ち着いていますが?」

 ティアは笑顔だが目が笑ていない。目からハイライトが消えている。

「怖いわ、ウルルス。貴方どれだけ愛されてるのよ!」

「浮気したら自慢の息子を切り離すって脅されるくらいには……」

「それは狂気一歩手間じゃない……」

「……、そうか?」

「似た者同士だったか……」

「師匠、ティアさんが怖いです……」

「そうか? いつもと同じだろ? なあ、ティア?」

「私はいつも通りですよ?」

 目からハイライトが消えたままだが、ニッコリと笑うティア。

「ひぃぃぃ、怖い!」

「怖いですぅぅぅ!」

「よく分からんが、それはお前らのせいだぞ?」

 フェイとローガンが手を取り合って頷いている。

「早くベスの居場所言わないと家に帰れないんだが?」

「私はフェイさんたちと帰るので、早くしてくれませんかね?」

 ベスの居場所を聞いて、早速宿を後にする。

「じゃあなティア。帰り道で襲われない様に……」

「まあ、大丈夫ですよ、多分。フェイさんとローガンさんを囮にしますので」

「なんか怖い事言ってるわ……」

「私は何も聞いてません……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る