第44話 沢蟹も大変
毎日、暑いです。クーラーはあるのですがほとんど使っていません。あの独特な冷え方が苦手なもので。
扇風機もありますがロフトの奥に突っ込んだままになっています。動くことは確かめたのですが、吹き付ける風が温風なので今年の出番はないでしょう。
だからと言って家に籠っていると運動不足に陥ります。これはいけないと山登りに出かけました。よくいくところなので景色を楽しむことはありません。根と葉で出来た山道を黙々と歩きました。
途中にある川は干上がっていました。山にもしばらく雨が降っていないようです。更に足を進めた先に川の元になる岩場があります。割れ目が黒く湿っていて僅かな水の流れが見えました。
その隙間に沢蟹が挟まっていました。数えると六匹、いるようでした。潤った部分に身体を入れようと踏ん張ります。他の沢蟹を脚で牽制していました。当然、他の沢蟹も場所を奪われないように押し返します。
静かな戦いは過熱して鋏を使って本格的に追い出しに掛かります。どこからか別の沢蟹が現れて戦いに加わりました。本気の抗争なのですが、傍から見ているわたしは和みました。付けていたマスクを外していつまでも眺めていました。
争いの渦中にいる沢蟹には悪いのですが、良い運動にもなって有意義な時間を過ごすことができました。
川が復活した頃にまた来たいと思います。
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