第30話 何匹も
先程、汗だくで庭から戻りました。全滅は免れました。ですが、危なかったです。一匹の生存は確認しました。じっと見ていましたがやはり一匹でした。
喉が渇きました。私は縁側から家の中に入り、スポーツドリンクを一気飲みしました。黄色くてシュワシュワした缶の誘惑になんとか打ち勝ちました。
それにしてもどうして気付かなかったのでしょう。庭に出した火鉢には並々と水が入れられて、その中には十数匹のメダカが泳いでいます。上のベランダから見ると丸見えで、暇があれば脱力した状態で眺めていました。
ただ、少し寂しい感じがしました。火鉢の中には水草ひとつ入れていません。隠れるところが少ない為、火鉢の上を蝶が飛ぶ度にメダカは驚いて潜ってしまいます。
そこでホテイアオイを買ってきました。小ぶりの物を三つ、火鉢の中に入れました。かなり見た目がよくなり、緑のホテイアオイの合間をメダカが元気よく泳ぐ姿にほっとしました。
そのあとです。梅雨に入ったのは。庭を眺める機会が減りました。比例して仕事に打ち込む時間が長くなって、すっかりメダカの存在を忘れていました。
今日、久しぶりにベランダから火鉢を見ますと、ホテイアオイが増えて緑の蓋をしていました。どこにも隙間がなくてメダカの姿が全く見えません。酸欠が頭に過り、急いで庭に飛び出しました。バケツに水を張ってホテイアオイを千切るようにして押し込みます。
するとメダカが見えました。ロウソクのように白くなって水面に横たわっていました。小型の網で何匹も
酸欠には十分、気を付けないといけません。本格的な夏になる前に気付けて良かったと自分に言い聞かせました。
メダカの様子が気になるので、少し見てきます。
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