跋陀羅1 シャカ族の子孫 

ブッダバトラ。法名は覚賢かくけん

本来の姓はシャーキャといい、

カピスヴァラトゥの人。

シュッドーダナ王の子孫である。


つまりどういうことかと言うと、

ブッダの兄弟の子孫である。

(シュッドーダナ王がブッダの父)


祖父はダルマデーヴァ(法天ほうてん)。

インド北部を旅して回り、やがて

その地に居着いた。

父はダルマスーリヤ(法日ほうじつ)。

かれはブッダバトラが三歲のときに死亡。

このため母の家に養われることとなったが、

その母も五歲のときに死亡。


残されたブッダバトラの聡明さを、

祖母の兄弟であるクマーリが気づく。

そして両親を失ってしまった境遇を憐れみ、

仏門に出した。


……んぅ?


ともあれ十七になったブッダバトラ、

同門とともに経典暗誦に励むのだが、

他のものが一ヶ月かかるような内容を、

ブッダバトラは1日で覚えてしまう。

なので、師匠は感嘆している。


「ブッダバトラの一日は、

 他の者の三十人分に匹敵するのか!」


具足戒、つまり僧としての成人を果たすと、

ますます修行に打ち込み、経典にも通じ、

様々な知識を我がものとしていった。




佛馱跋陀羅,此云覺賢,本姓釋氏,迦維羅衛人,甘露飯王之苗裔也。祖父達摩提婆,此云法天,嘗商旅於北天竺,因而居焉。父達摩脩耶利,此云法日,少亡。賢三歲孤,與母居,五歲復喪母,為外氏所養。從祖鳩婆利,聞其聰敏,兼悼其孤露,乃迎還,度為沙彌。至年十七,與同學數人,俱以習誦為業,眾皆一月,賢一日誦畢,其師歎曰:「賢一日,敵三十夫也。」及受具戒,修業精懃,博學群經,多所通達。


佛馱跋陀羅、此れ覺賢と云い、本の姓は釋氏にして、迦維羅衛の人、甘露飯王の苗裔なり。祖父は達摩提婆、此れ法天と云い、嘗て北天竺を商旅し、因りて居す。父は達摩脩耶利、此れ法日と云い、少きに亡ず。賢は三歲にして孤たれば、母と居し、五歲にて復た母を喪い、外氏に養わる所と為る。從祖の鳩婆利は其の聰敏なるを聞き、兼ねて其の孤露なるを悼み、乃ち迎還し、度し沙彌と為す。年十七に至り、同學の數人と俱に習誦を以て業と為し、眾は皆な一月たるも、賢は一日にして誦ぜるを畢う。其の師は歎じて曰く:「賢の一日は三十なる夫に敵えるなり」と。具戒を受くに及び、業を修むこと精懃、博く群經を學び、多きを通達せる所たる。


(高僧伝2-22_夙恵)




ブッダバトラは、以前のブッダヤシャスと同じく、割と長安ちょうあん入りまでが長いです。しかしこちらは省略。やつみたいに尖った人格してないから。いや、明らかにブッダヤシャスがおかしいだけなんですがね?


このひとは最終的にしん入りして劉裕りゅうゆうとも絡んでいます。うーん、ようやくそういう人と出会えたっていうか。


しかしブッダバトラ、これ確実に厄介払いされてますよね……? まぁ母方の家がそこまで養う義理もないってのもそうなんでしょうし。この辺、チャイナな家の倫理に基づいて書かれてるから、どうにも実態が掴みづらいですね。この頃のインドの家の倫理をどっかで仕入れないとにっちもさっちもいかなさそう。

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