妄コンでかぶりネタをさける方法



 さて、ネタかぶりをさけるのに、有効な手段が一つ。

 妄コンって募集フォームのタイトルのとこに、ちょこちょこっと「こんな妄想を待ってます」みたいな例が書いてありますよね。


 変身がテーマの回、そこに変身ヒーローのことが書かれてました。応募作品の半数とは言わないけど、四割くらいは変身ヒーロー、または魔法少女ネタだったんじゃないですか?


 宣言します。変身ヒーローネタはすべて(またはそれに近い大多数が)落ちます。かぶりネタですから。(一作だけ変身ヒーローで入選でした。ただし、その人はブースト中の常連さん)


 選ばれるとしたら、変身ヒーローではあるものの、ほかとは違う、めちゃくちゃ奇抜な使いかたをしてる場合のみですね。(ただし、あまりにもかぶり作品が多すぎて、逆に出来のいい話をとるために選ばざるを得ない可能性はある)


 あの例文をもとにして書いたこと、僕も一度だけあるんですが、案の定、落ちました。


 もうなのかなと思うほど、例文にある使いかたをした作品は、結果ではさけられてます。

 むしろ、例文は使例くらいの気持ちで行かないといけません。


 常連の人は、たぶん、そこらへんもうまい。


 もう一つ。

 これは季節的なもので、限定的に集中することが予想される内容をさける、という方法です。


 たとえば、今、〆切前の妄コンのテーマって、『走りだす』と『復活』なんですが(これを書いてるのは、十二月二十日)、この時期だと、どうしてもみなさん、クリスマスとか書きたくなっちゃいますよね?


 お題がクリスマスならいいんですが、募集のお題はそうじゃない。にもかかわらず、わりと参加作品にクリスマスについて書いた作品が目につく。タイトルや表紙がそれっぽい。


 それは、さけたほうがいいです。だって、みんなが発想するでしょ?


 年末年始ならお正月とか、二月はバレンタイン。春なら桜、卒業とかね。みんなが思いつきそうなネタは、あえてさけるわけです。

 まあ、ほかの部分がきわだってれば、季節かぶりくらいはオッケーだとは思いますが。


 あとですね。

 気になったのは、大賞作品ってみんなが読むんでしょうね。結果発表されたばっかりの大賞作品の劣化コピー的なやつを、〆切前のテーマに放りこんでくる人が、たまにいるんですよね。


 わかりますよ?

 大賞とった作品なんだから、アイディアも斬新だし、話は面白いです。

 だからと言って、その二番煎じをしたところで、選考さんが選ぶわけないじゃないですか。そんなのは自明の理だと思うんですけどね。それで大賞以上の作品になってればともかく、たいていは……。くらべられることを本人はなんとも思わないのか、不思議なレベル。


 もしかしたら、たまたまネタがかぶっちゃったのかもしれないですが、タイミング的に狙ってやったんだろうなと、まわりは思うわけです。

 ムダな努力なので、ほかの話を考えたほうが建設的ですね。


 ここまでは、やらないほうがいい発想法。

 最初から入賞の芽が出ないものを大事に育てたって、時間の浪費ですからね。

 ちゃんと入選できる可能性のあるものを育てましょう。


 あとですね。これは直接的な発想法からは少し外れるんですが、思ったこと。


 妄コンって1ヶ月に二回もあるんですよ。今の『復活』で164回なんだそうです。

 毎回テーマを考えるのも大変ですよね。そのせいか、一時期、なんじゃこりゃ? と思うようなテーマのときがあった。お題もつきてきたのかなって。

 でも、しばらくすると、それを乗りこえて、また「これは書きたいな。おもしろそう」っていうテーマが戻ってきた。


 どうやって考えてるんでしょうね?


 で、僕が気づいたのは、妄コンのテーマって、なぜか、その少し前に結果発表があって、入賞した作品のイメージから作られたっぽいものが、けっこうある……ってこと。全部が全部じゃないけど。


 どういうことかというと、一例ですが、前述の『変身』ってテーマ。『花ひらく』の回の大賞作品からとられたんじゃないかな?


 この作品を読んでて、たしかに花ひらく場面もあるんだけど、何も知らなければテーマは『変身』なんじゃないかと勘違いしてしまうかもってくらい、変身ヒーローがモチーフとして強く使われていた。作品はね、ほのぼのしつつ、最後はスッキリ、キャラクターも魅力があって、とても可愛らしいお話でした。


 ほかにもこれまで何度か、今回のテーマあの作品から持ってきたかな、と思ったことがあるんですよ。


 じつは準大賞をとった僕の作品『あの子とリンゴ飴』の少しあとに、テーマが『縁日』だったことがあり、このとき初めて「ん? もしや?」と思った。リンゴ飴でわかるとおり、この話、縁日の場面が話の山場になってるんですね。テーマじたいは『お年玉の使いかた』だった。お年玉でリンゴ飴を買うって話なんですけどね。


 たぶんだけど、この話から縁日が抽出されたんだろうなと自負してます。

 この話は入賞してすぐに書籍化もされました。編集さんにかなり気に入ってもらえたようです。


 つまり、その回のお題をうまく使いつつ、モチーフなどでほかのテーマにも使えるような統一感のある作品は、選んでもらいやすい、ってことです。


 わかりにくいかもしれないので、〇〇前夜の入賞作品三作を例にとってみます。大賞作品から次のテーマを切りだすとしたら、革命、暗殺、裏切り、英雄などですね。どれをとっても新しい回のテーマにふさわしい。準大賞作品なら、老舗、商店街、和装、あやかしなどでもいいかも。入賞作品は、プリマ、バレエ、ダンサー、観客などかな。トゥシューズはお題にするにはハードルが高い。


 三作とも読んだ人なら「なるほど」だと思います。

 なんとなくですが、こんな感じで新しいテーマを作られてるような気がするんですね。


 なので、これは作品の発想法というより、演出法になるんですが、見せ場を盛りあげるモチーフで、作品を華やかに飾りつけること。

 それも意識的にできれば最高ですね。


 まあ、今回はそんなとこですね。

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