しつこく、まだ書く視点!1
視点……。
かーくん、まだそれ書くの?
いいかげん、しつこくない?
と、今、思いましたか?
すいません。書きますw
ただし、今度はなるべく初心者向けに、具体的に視点の乱れを克服するには、どうしたらいいのか。
そう。つまり、今回も三人称視点について書きます。
視点が乱れるのは、なぜなのか。
それは、視点が乱れていることに自分が気づいていないから——と、以前にも書きました。
じゃあ、どうやったら自分で気づけるようになるのか? そこが肝心なのかなぁと思います。
そこで考えたんですが……って、自分がその方法で克服したわけじゃないんだ? ないんですよ。
前にスランプになったときのことを書きましたね。習作だとあきらめて書きだしたらラクになったと。
このとき、どうせ習作ならと、一作ずつでまだ書いてないことにチャレンジしてました。複雑なプロットだったり、新しいキャラのタイプだったり。でも、視点の練習をするには、ちょっと不充分だったかなぁと、今になって思うわけです。
今、視点を練習するために考えられるメソッドは?
みなさんが実践されてるのは、たぶん、こういうものではないかなと思います。
短かめの話や一場面を三人称一視点で書いてみる。一視点です。主役にだけ固定の視点です。二千字から一万字くらいで書いてみる。このとき、登場人物は主役以外にも数人いたほうがいい。視点が乱れるのかどうか、あとでわかりやすいから。
さて、書き終わったら、読み返します。このとき、とくに視点に注意して読んでみましょう。ちゃんと主役の視点になっているのか。主役がその目で見ていることだけが描かれているのか。もしも途中で、ほかのキャラクターの目で見ているものがまじっていたり、主役には見えないはずのものが書かれていれば、その部分が視点の乱れです。
それでもわからない場合は、同じ話(場面)を、次は違う人物を主役にして書いてみましょう。最初に書いた話とは、ちゃんと違う人物の目で見た内容になっているのか読みくらべてみましょう。
これらをふまえて、三人称多視点の長編を書くとき。多視点と言っても、前述のように、一場面は一視点で書くのがベストです。なので、その場面を書くには誰の視点で書けば、一番ストーリーをきわだたせることができるのか、じっくり考えてみましょう。
「ここでは、どうしてもヒーローの悲しげな横顔をヒロインの目で見つめたい!」と思えば、その場面はヒロインの視点で書きます。場面を切りかえるまで、ヒーローの目で見たものを入れてはいけません。たとえば、物思いから覚めてふりかえったヒーローが、泣きそうな瞳で自分を見つめているヒロイン……などです。これは、ヒロインには見えない。
「ええー! これ、両方入れたいんだけどなぁ」というときは、場面を変えて、あらためてヒーローの視点でふりかえるところから書きましょう。ふりかえって泣きそうな瞳にドキッとしつつ、ストーリー的には次の展開に移っていくわけです。
とは言え、ほんとはですね。
初心者のかたには三人称多視点は書いてほしくないんですよ。
ピアノだって、いきなりラフマニノフのピアノ協奏曲を弾くわけじゃないですよね? 世の中にはエチュードというものが存在する。最初は練習から入るんです。
初心者のかた、とくにティーンエイジャーのかたは、小説を書こう!——と思うとき、たぶん、ほとんどの人はマンガかアニメを念頭に置いてるんですよね。自分の大好きなマンガのような小説を書こうとしている。
以前にも視点の回で書いたかもしれませんが、マンガと小説は違います。マンガのように書こうとすると、必ずその小説は破綻します。もっと言うなら、初心者のかたがマンガのように書こうとしたら、です。
視点を自在にあやつれる人がマンガのように書くことはできます。そこまで行きつくには、三人称多視点を完全にマスターすることが必須の条件になります。
マンガは絵で誰の視点なのかが一目でわかるため、同じ一ページのなかで何度も視点人物が変わったりするからです。以前に、視点を乱さないためには場面で視点人物を固定したほうがいいですと言いましたが、マンガはそれとはまったく別の法則で成り立っている表現媒体なわけです。
というわけで、小説を書きなれるまでは、かたくなに一人称、または三人称一視点をつらぬくことをお勧めします。もう最初から最後まで、主役の視点以外のものを入れないようにしたほうがいいです。
他のキャラの気持ちは書かない。他のキャラの見たものは書かない。
この書きかたを徹底すれば、一視点の上達は早いはず。
なれたところで、場面ごとに視点人物を切りかえる方法の多視点にすれば、それまでの書きかたの応用でしかないので、比較的らくに多視点をマスターできます。
でも、それだと、書きなれるまで、主役以外の人の心の声がなんにも書けないよ……と嘆かれるかも?
それも、書きかたさえ工夫したら問題ありません。
10万字くらいの長編なら、主役に固定の一視点で、充分、他のキャラの内面まで表現できるので。
ちょっと長くなったので、そのコツは次のエピソードで。
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