読まれる小説7 連想させる(前編)



 いやぁ〜、近況ノートって、ほんとこのエッセイのネタの宝庫ですね。


 じつはそろそろ、あとがきっぽいもの書いて完結にしようと思ってたやさき、また見つけてしまった。


 と言っても、もともと書こうかやめようか悩んでたネタ。似たことはちょろっとだけど前にも書いたから、もういいか。くりかえしばっかりになっちゃうしなぁと思って、書かないつもりでした。


 つまりですね。言葉の選択について。推敲のさいに重複した言葉を削る、または置きかえると言いましたよね。


 単純に重複してるだけじゃなく、違う単語ではあるけど意味は同じ、とかもありますよね。


 たとえば、『咲き誇る赤いバラが満開だ』という文章。一見、同じ言葉はないし、重複はなさそうですが、意味的には、ある。

 そうです。『咲き誇る』と『満開』は、両方、花が完全にひらききった状態を表してますよね。いわゆる類語、同義語です。


 この場合は、どちらを残すか——と言ったようなことを書こうと思ってました。

 まあ、上の例文はどっちでもいいんですが。好みですね。むしろ、僕が小説本文で書くなら『赤い薔薇が燃えるように咲きほこっている』かな。

 なんとなく、狂おしい感じがしません?


 そう。それです。その文章から、受ける印象。これがスルスル読ませるコツなんですね。


 以前のエッセイにも、これについては書いてて。

 僕の文章は読みやすさを追求した短文なのに、なぜか読者さまから、たびたび『描写が丁寧だから、映像が頭に浮かびます』と言われる。不思議だな、なんでかなって。


 答えは、言葉の選びかたが『連想をうながす』ことに特化してるから。連想語です。(連想語は造語ね)


 さっきの例文。


 赤い薔薇ばらが燃えるように咲きほこっている。


 満開の紅薔薇が絨毯のようにあたりいちめんを覆いつくして群れ咲いてる光景が目に浮かびませんか?


 これ、最初のダメな例文のほうでは『咲き誇る赤いバラが満開だ』でしたよね。

 ここに『燃えるように』と一語たすだけで、印象がずいぶん変わる。それもバラがカタカナから漢字に! 紅蓮の大輪のバラなんだろうなぁと。


 ちなみに、ダメなほうと、いいほうの例文。どちらも類語が重複してることには気づきましたか?

 ダメなほうは前述のとおり、『咲き誇る』と『満開』が重なってる。どっちか一つあれば充分ですね。


 では、いいほうは?

 じつは『赤い』と『燃えるように』です。両方、色が赤いことを表現してます。


 なら、『薔薇が燃えるように咲きほこっている』でいいところです。が、ここはあえて『赤い』を残しました。色を強調することで、より耽美で狂おしいふんいきをかもしだすためです。両方つけたところで、たいして長文ではないしw

 風景描写はふんいき作りなので、必要な重複でした。


 このように、想像力をかきたてる言葉選びが大事です。的確な言葉を使っていれば、言葉数は少なくとも、確実に相手には伝わる。

 一文のなかで二つ三つ類似の装飾語を入れてるときは、意味のもっとも強い一語を残して、あとは削るとスッキリします。


 ——と、ここまでが、もともと書こうと思ってたことで、以前のエッセイにも書いてた。


 で、ここから冒頭の、『近況ノートはネタの宝庫なんです』が始まる。これに似たことを、とあるかたが書かれてたんですね。ただ、その内容は単純に小説の表現法ではなく、テンプレの文、非テンプレの文を比較して、非テンプレを揶揄やゆされてたんですが。


 最近、多いですね。

 テンプレだからダメ、内容薄い、ペラペラ、読む気しないとか。

 逆に非テンプレだから、ダラダラ冗漫で展開が遅い、そんなんだから読まれない、とか。

 どっちの言いぶんも的を射てるなぁ。それぞれの短所をついてますよね。


 えっ? ラノベ読んだことないのではって? はい。ないです。本になってるやつは。

 後述の理由で、だいたいの予想はつくので。


 僕はテンプレ非テンプレ論争は正直、どっちでもいいです。そんなの書きたい人はテンプレ書けばいいし、自分は違うというなら非テンプレ書けばいい。個人の自由でしょ。まわりがとやかく言うことじゃない。じっさいにそれで読まれる読まれないは、また別の次元かなと。


 よそはよそ、うちはうち、なのです。

 僕は僕だけのオリジナルをつらぬくために、読まれる文章をせっせと磨いてる。


 ちなみに、エブリスタで書籍化されるのは、ガッツリ、ゴッツリ描写過多ですよ。

 さきほどの近況ノートで、テンプレ例文を書かれてましたが、それでは妄コンには残れません。ましてや長編書籍化イベはムリ。あそこは僕の三倍くらい描写量ないと書籍化してくれない。文学っぽいのがお好き。応援コメントで、エブリのトップ変わったって話ですよと教えてくださった人がいらしたので、もしかしたら今は少し違うのかもですが。


 と言っても、書籍化決定作品を僕自身が読んだとき、展開遅いのがつらかった。勉強のためと我慢して最後まで読んだけど、そうでなければ最初の数ページでブラウザバックしてました。描写量の好みは人それぞれなんですね。


 話がどんどん、それていく……。

 そして文字数もすでに2100か。続きは次回にしようかな。


 まあ、カクヨムはラノベのサイトであり、書籍化もそういうのが選ばれる事実は、いかんともしがたい。投稿に使わせてもらってるんだから、その現状は受け入れるしかないんで、そこに不満があるなら、自分の作風にあったサイトを探すのも一つの手段かと思います。


 あっ、だからって、「カクヨムを去れ!」って言ってるんじゃないですよ? 曲解しないでください。あくまで冷静に、作風にあったサイトのほうが編集さんにひろわれやすいし、そこで芽が出る可能性が高いって言ってるんです。

 僕自身の作風も、ほんとはカクヨムにはあってないので、どっかにいい場所ないかなぁと思ってるくらいなので。


 とにかく、ラノベのサイトで、ラノベはダメ、ラノベはダメって言ったところで、得るものはないです。


 複数サイトで投稿してる人は多いですし、サイトごとの特色ってあるんですよ。自分にとってやりやすいサイトは必ずあるはず。カクヨムやアルファポリスのように広告収入を還元してくれるサイトは少ないですが、それにこだわらなければ、自分好みの作品がズラリと並んでて、読み手も自作を好む人たちばっかり……に近いところが見つかると思います。いくつかのサイトをかけもちで楽しんではいかがでしょうか。

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