読まれる小説3 設定集を書こう



 設定集。

 僕は書いてないんですが、長いシリーズ作品などの年表とか、専門用語とか、ゲーム要素のある話のスキルやレベルごとの数値とかをキャラごとにぬきだして、ちょこっと書きとめたことはある。


 なぜ、自分は書いてないくせに、書けと言うのか?

 それはですね。

 今、カクヨムコン用に昔に書いたSFミステリーをアップしてます。それをポチポチ、スマホで打ってるんですが、このとき、いらない文章は切りすてながら上げてます。


 書いてる当時は完璧と思ってた話も、今になって読み返すと、ムダが多いね。いらない説明だらけ。そのくせ、必要な描写は足りてなかったりする。


 必要な描写については、書いてる当時から自覚はあった。

「この文章、ほんとはこのあとにラスト一行、何かが欲しいんだけどな。そのほうがしまるのに」と思ったことはしばしばあった。ただ、そのころは、じゃあ何を書けばほどよくなるのかっていう見当がつかなかったんですね。思いつくことを書いても、なんか蛇足っぽくなっちゃうし、しょうがなく『よし』としてた。それが実情。


 今、サイトに上げるためにポチポチしてると、足りなかった部分は軽く足せる。当時、この一文が足りないと感じたんだなと思う文章が、スラスラ浮かんでくる。

 そうか。あのころ足りなかったものが満たされたのか。人って何年経っても成長するもんなんだな。

 もしかしたら、また数年したら、今は完璧と思ってるものが違ってくるのかもだけど。


 で、問題の設定集です。

 ムダに多かった文章のほとんどが、設定に関することなんですよ。

 22世紀の月面都市を舞台にしたSFなので、その世界独自のものがいっぱいあるんですね。とくに、このなかでオリジナルのカードゲームがあり、その説明がひじょうに多い。ルールやカードじたいの品番などから、公式戦のようすや対戦台やその周辺設備とか、必要以上に詳細に書いてあった。いやいや、ゲームのルールブックじゃないんだからさ。


 これ、書いてるときはゲームをじっさいにした上で想定される、あらゆる状況について、考えられるかぎり書いておかないと、穴があるとつっこまれる、と思ってた。同時に、書き残しておかないと自分が忘れるからって理由も……。


 つまり、本来なら設定集のなかで書かないといけないことを、小説のなかで書いてしまっているんですね。根が横着なんで、設定集とかめんどくさくて、よう書かん……という横着な精神が、これをさせてました。


 こういう書きかたは他の作品でもやってしまっていて、昔のやつはとにかく、くどいですね。しかもSFとかファンタジーとか、設定の多いジャンルを好んで書いてるし。


 SFとかってオリジナリティを追求すると、どうしても独自設定増えるじゃないですか。作者的にはそれを細かく説明したい欲にかられるものです。どんは世界なのか読者に伝えたい、わかってもらいたいと思うあまり、ついつい書きすぎてしまう。


 でも、読者側からしてみると、それっていらない情報なんですよね。そんなことより早くストーリーを動かしてほしい。だよね。そうだよね。カードゲームのルールの詳細が必須なのは、デスゲーム系とか、それがトリックになってるミステリーとか。そうでないなら、


 そう。読者はなんとなくわかれば、物語について行ける。


 なので、くらいなら、最初からわけて、設定集は設定集で作っておくべき。自分用に。


 そして、じっさいに小説本文を書くときには、設定集から抜粋して、簡略に説明するといいですね。


 よく他のかたのファンタジーを読みに行くと、冒頭から一章ぶんが丸々、世界観の説明だった——なんてことあります。あれ、つまんないんですよねぇ。


 小説のなかで必要な説明は、現段階で読者が知っていないと、ストーリーが理解できないと思える最低限のこと。

「ここでコレ書いとかないと!」と必要に迫られるまでは書かない。その都度、必要なぶんだけ小出しにする。

 これが展開をジャマしないほどよい情報量なのかなと。


 なので、今回、アップするときに、僕もゲームの説明を半分ていどカットしました。原稿用紙五枚ぶんくらい省いたとこもあった。ひとまとまりで、それくらいの説明が入ってたんでw これでいくらか読みやすくなったかなと。


 何年か経って作品を書きなおそうと思ったときなどのために、設定集の形にしといたほうが、自分でもわかりやすい。小説本文のなかにバラけてると、作品を通して読まないと理解できないし。


 それに設定集じたいも公開してしまえば、ファンの人のなかには、それも読んでくださるありがたい人がいるかもしれない。それだってPVですからね。


 最近、凝ったSFとかファンタジーとか書いてないけど、今度そういうのを書くときには、設定集作ってみようかな、と思ったのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る