第86話ゾッとする
「何で監視カメラを確認する必要があるんですかっ!?この腕を見ればどちらが被害者でどちらが加害者か一目瞭然でしょうっ!!」
そして地雷社員はまるで被害者であるかの様に振る舞い監視カメラを観るのはおかしいと言うのだが、周りに集まって来ている人たちは口では言わないものの目線は変わることなく『お前が犯人だろ』と告げている。
「何で皆そんな目で俺を見るんだよっ!?おかしいだろっ!俺が被害者なのにっ!一緒に仕事をした仲間じゃないかっ!」
「一緒に仕事をした仲間だからだよ。従業員達から寄せられた苦情の多さを前に説明して一度注意した事も忘れたのか?『仕事をしない上に擦り付けて休憩時間でも無いのに隠れるように建物の裏で煙草を吸っている。喫煙所でもない所な上に灰皿代わりの空き缶を放置しているから夏場はハエが湧きそうなのも嫌だ』『俺料理が上手いから君の家で料理を振舞ってもいいかな?君の仲のいい人も皆来るって言ってるからさ、と言われたからオッケーしたが仲のいい人たちからはそんな事言われていないと皆言う為、前日に断りの連絡を下にも関わらず訪れた上に彼一人だけだった。怖くてチェーンを解除せずやり過ごし、一時間後に悪態をつきドアを蹴って帰った』等々、その他苦情の多さにについてかなり真剣に怒った筈だがもう忘れたのか?まだ俺がお前に態度を改めろと怒ってから一か月もたっていないのに周りがお前に対する評価が変わる訳ないだろ?」
今までの勤務態度とか考えれば周りの従業員や同僚達からどのように思われているのか簡単に想像は付くだろうに、地雷社員は本気で嫌われていないと思っているのか野次馬に訪れた従業員達に向かって『仲間』と発したのが店長の琴線に触れてしまったのであろう。
ここぞとばかりに店長によって、つまるところ『信頼関係なんて無いに等しいのに仲間な訳ないだろ』と言い返されてしまう。
そして私は店長の『一か月もたっていないのに周りがお前に対する評価が変わる訳ないだろ?』という言葉が、まるで自分に対して言われている様な気がしたし、その感覚を忘れてしまったら私もきっと地雷社員の様になってしまうと思うとゾッとする。
「そ、そんなっ!?にしても偏見で物事を決めるのは間違ってますっ!!」
「そうだ。その通り。お前の言う通りだな」
「だ、だったら何故────」
「偏見で物事を決めつけるのは良くないからお前が腕を噛まれたから被害者ではなく、加害者のお前に捕まり逃げるために北川ちゃんが噛みついた可能性もあると警察の方はしっかりと監視カメラと両者の言い分やその他状況証拠に従業員達からは勤務態度や普段の様子も聞かれるだろうな。ほら、あとは警察の仕事だから皆持ち場に戻った戻った」
そして店長は何事かと今なお増え続けている従業員達へ持ち場に戻るように指示を出した所で警察、そして少しして救急車が来て私と地雷社員は別々の救急車に乗せられるのであった。
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