1-11 楽しい楽しい王女様解体ショー1
「こ、こんなのは何かの間違いですわ。ゆ、夢に違いありません……! わたくしの身体が傷つけられるなど!」
「安心してください。小さな傷なんて気にならないくらい、バラバラにしてあげますから。あ、でも、いきなりノコギリを使うような酷いことは致しません。まずは小さな所、右手の指からいきましょうねー」
断頭台に挟んだ王女アンメルシアの腕に腰掛けて押さえ込み、その指先へと手を伸ばす。
が、じたばたと抵抗されてしまった。
「ほら、言うこと聞かないとダメですよ?」
「ふ、ふざけっ……」
「仕方ないですね、もう」
しょうがないなぁと私は王女の腕を掴み、勢いよく肘を反対側にねじ上げた。
「ひぎゃあああああっ!」
ごきり、と肘が本来あり得ない方向に曲がり、悲鳴が響く。
ついでに肩もねじりあげて無理やり一回転させてやると、王女の腕はおかしな方向にねじ曲がり、蛇のようにくたりと力を失った。
「腕はこれでよし、と。ついでに足もやっちゃいましょうか。せーのっ!」
続けて王女の両足を掴みながら生意気な尻を踏みつけ、大根を抜くように力を込める。
みちみちと筋肉の抵抗が続いたのち、ごりっ、と鈍い音がして股関節を外してやる。
「あがあ、痛ああぁぁあぁぁっっ!」
「はい、これで腕も足ものびのびになりましたねー。あ、痛覚はきちんと繋がるよう回復しておきます。では改めて、右手の人差し指から順番にいきましょう!」
悶絶する王女の前で、私は小さな金属針をぺろりと舐めて見せつける。
わざと見えるよう王女の前に右手を引きずり出し、その可愛い指先をくりくりといじりながらーー爪と肉の間にあるぴっちりとした隙間を見定め、ゆっくり、ゆっくりと針先を近づけていく。
「ひ、ひいいっ」
「ほーら、入っていきますよー。きっと痛いですよ? 痛いですよ?」
脅しながら針をぐっと差し込むと、ぷつりと柔らかな皮膚の弾ける感触とともに遺物が爪の合間にねじり込まれていく。
王女の繊細な指先がびくびくと震え、痛みに顔を歪ませる姿がたまらない。
そうして針を半ばまで差し込んだところで、私はにこりと笑い、
「せーのっ」
だんっ! と針を叩きつけ、テコの原理で爪をべりっと引っぺがした。
「ぎゃあああああーーーーっ!」
「はい、ぐりぐりーっと」
爪が裂けて血のにじんだ指先を、すかさず親指で押さえつけぐりぐりと捻り潰す。
痛い、痛い、と絶叫する王女を横目にしつつ、つぎは中指に針を仕込み、神経を削るように痛みをより強く与えていく。
「ああ、あああっ」
「安心して下さい、人間もエルフも爪が剥がれた程度では死にませんから」
ふんふーん、と私はそのまま右手全てに針を仕込み、ぐちゃぐちゃにかき回しながら爪を剥がす。
続けて靴底でぐりぐりと泥まみれの靴で踏みつけると、王女の美しかった指先は血と泥に塗れて使い物にならなくなった。
「わ、わたくしの、美しい、ゆ、指、が……あ、ああっ」
「ごめんなさい。ちょっと汚ししすぎました? 王女は汚いものがお嫌いですもんねぇ」
私は彼女を安心させるべく、にこやかに微笑んで。
ハサミを手に取り、じょきん、と空を切る。
「だったら指ごとなくしちゃましょう。ね?」
「なっ!? や、やめっ……」
「では小指の先から削っていきましょうねー」
よーし頑張るぞ-、と肘を固定しながらハサミを入れ、じょきん、と踏み込むと小指の先がつるりと宙に飛んでいった。
「ひぎゃああああっ! ああ、あああっ」
「まだ指の一本なのに大袈裟ですね。人間には骨が二百個以上あるんです、一本飛んでったくらい我慢してください? ……ああ、エルフでしたねあなた。でしたら心臓と頭が潰されない限り死なないんですから、痛みなんて何とかなるでしょう?」
私は笑いながら、ざくざくと指をひとつずつ野菜を切るようにスライスしていく。
そうして右手をつるりと丸めた後、手首を掴んで雑巾を絞るように「よいしょー!」と逆回転にひねりあげた。王女が泣き叫ぶ心地良い音を聞きながら、ぶちりと手首まるごとねじ切ってやった。
うん、実に心地よい悲鳴と感触だ。
美しい王女の腕のひとつをもいだことに満足していると、王女が白目を剥いてびくんびくんと背中を引きつらせていた。
「あら、エビみたいに背中を沿って、ずいぶん可愛らしいですね。でも、まだ始まったばかりですよ? 知ってます? 人体って右手があるなら左手もあるんですよ。なんと二倍もお得ですね!」
反対側に周りながら、王女の左手を同じように捌いていく。
丁寧に爪を剥ぎ、指をスライスして丸めたのち皮を剥き、果実を収穫するように手首を落とす。
「ほら、今どんな気持ちですか? 自分が壊されていく感想を教えてください、王女様」
「あ、あぎぎっ」
王女を嘲りながら、たまらなく楽しくなっている自分に気がついた。
ああ、ダメだ。
笑うにはまだ早い。
……彼女から受けた仕打ちは、この程度では済まないのだから。
勇者様のためにも私のためにも、もっともっと楽しまければ!
「お楽しみ頂けたようなので、同じように足やっちゃいますね!」
「も、もう止め……ひぎぃっ!」
続けて足を掴み、同じくすべての爪先へと針をねじこんで剥がしていく。
それから足の指をひとつひとつ切断。丸めた後にナイフですぱっと足首ごと切り飛ばし、二度と立てない身体にしてやった後、ついでにナイフを膝裏に突き立てる。
王女は既にろくな悲鳴すら上げられずびくびくと痙攣していた。
が、意識はきちんとあるらしい。
穢れひとつなかったはずの肌とドレスが血にまみれて赤く染まり、汚されていく王女を見ながら気を良くした私は、そろそろ大仕事に取りかかることにした。
「ふふ。よいお姿になりましたね。ではそろそろ本番に参りましょう」
「え……ほ、本番?」
「ええ。まずは……腕と足、身体から分けましょうか」
「なっ、やめ、やめっ」
「折角なので、ヴァネシアから借りた剣で斬りましょうねー」
もはや心を完全に砕かれ、犬のような格好で嗚咽するヴァネシアを横目に、切れ味の良さそうな長剣を手に取った。
逆手に握り、勢いよくざくり! と彼女の右肩へと振り下ろす。
「ーーーーっ!」
「はい、なくなりましたー。自分の身体が消える感触はどうですか? 苦しいでしょう? 辛いでしょう? 四肢って不思議なことに、斬られても自分の腕がそこにあるっていう錯覚が残るんですよ。でも、もうないんです」
「ーーーっ! ーーーっ!」
「あら。声も出ないんですか? でも、まだ右肩一つだけですからね。残りも今から分けますよー?」
ふんふんと私は鼻歌を歌いながら、王女の肩、そして太股の付け根へと剣を振り下ろした。
大量の血を零しながら、力を失った両腕と両足がぼろりと彼女から離れていく。
うん、今日はとても素晴らしい日だ。
ならもっと盛り上げよう、と私は身体だけになった王女を見下ろす。
「では、次は……大切なところに参りましょう。ええ、ここを捌かなくては女を殺せませんから、ね」
私は続けて、用意したレイピアを手に取る。
先端が細く、刺突攻撃に特化した一点突破型の武器だ。
その針のように鋭い先端を構え、王女の醜い股下と近づけていく。
金属の感触をあえて分かるよう近づけてあげると意味を理解したのだろう。王女は全身を引きつらせて硬直した。
「っ……ま、まさか、そんなっ」
「ええ、ご想像の通りです。あなたには汚らわしい男のものではなく、これでたっぷりかき混ぜてあげますからね!」
「や、やめっ」
そして私は勢いよく王女を串刺しにした。
「ひぎゃあああああっ! おご、おごぉぉぉぉっ!」
「あら、何ですかその可愛くない悲鳴。王女様らしくありませんよ? せっかくの初体験なんですからもっと素敵な声をあげてもらわないと、愚民に嫌われますよ?」
一気に裂いたせいで、股下から情けなく血をたれ流す王女様。
あまりのショックに白目を剥き、痛みにびちびちと痙攣する様を見ながら「まだまだ足りませんよ」と細剣を突き込んでいく。
「エルフは死ななくても、この辺の構造は人間と同じですからねー。はい、これで子供が埋めなくなりました。よかったですねー。でも念入りに、あなたの子孫が決して残ることがないよう、しっかり奥までかき混ぜておきましょうねー」
「あああ、があああああっ!」
細剣の先端が子供を宿す臓器を通り越し、貫いていく。
そのままぐりぐり体内で回転させると、彼女の内側にあるであろう汚らわしい臓器が割けて絡まり、本物のシチューのようにない交ぜになっていく感触が私の腕に伝わってきた。
その様子に満足しつつ、私は次にじゃらじゃらと大量の剣を持ってくる。
「せっかく下を刺してお腹が苦しそうなので、背中からも飾り付けましょうか。えいっと」
「あが、あががっ」
「一本、二本、三本……十本くらい頑張りましょうか。はい、ぐりぐり~っ、と」
誕生日ケーキに添えるロウソクのように、王女の背中から胸にかけてザクザクと剣を突き立てていく。
心臓以外の臓器を破壊されても、魔力で補填できるエルフは大変に便利だ。
もちろん刺した後にひねりを加えるのも忘れない。このひねりが臓器や筋肉をねじりあげ、激痛と悲鳴を与えることを私は身をもって知っている。
そうして王女の腹部に剣という剣を刺し、逆ハリネズミ状態にしたところ、泡を吹いて気絶してしまった。
王女には精神異常耐性がなかったのを思い出す。
「もう、気絶して痛みから逃げるなんて卑怯ですよ。はい回復。私は<聖女>ですから蘇生だけでなく回復もお手の物です」
「あ……あが、がっ……いぎぃっ!」
「おはようございます、アンメルシア。まったくもって屈辱的でしょう? あなたの憎んだ人間に、大切なものを壊される感覚。どうですか?」
「っ……もう、止めて……止めなさいっ……こ、これ以上、辱めるところなど、無いでしょう……?」
「はい?」
これ以上の屈辱には耐えられない、と王女が震える。
けど、なにを言っているのだろう。
本番はこれからなのに!
怯える彼女の期待に応えるべく、私は優しく淡い笑顔で応じる。
「何言ってるんですか。今のは前菜ですよ。……という訳でそろそろ、ご馳走に手をつけましょうね」
「え……?」
私はねっとりと、絡みつくように私はその柔肌を撫でる。
彼女の鼻の頭を撫で、
頬をなぞり、
その瞳をしっかり覗き込みながら。
「あなたご自慢の、エルフで最も美しいその顔を。今から徹底的に、ぐちゃぐちゃにしてあげますから……ね?」
王女アンメルシアの顔が恐怖に引きつるのを、私は愉悦をもって見下ろした。
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