第61話ママの昔話と息子くん

 一時期ママの子どもの頃の話を聞きたがっていた息子くん。特にママが子どもの頃にあって今は見かけなくなったものに興味があったよう。

 きっかけはじぃじの家に行った帰りに話していた駄菓子屋さんだった。それを何故か小学校にあがってから思い出し、ママが小さい時はあったもので今は見かけなくなったものを聞き出し始めました。

 息子くんが一番驚いたのは「豆腐屋さん」でした。カランカランと少し低い鐘の音が聞こえると鍋持って行って自転車で来る豆腐屋さんに「きぬこし一丁ください」とよく使いにだされていました。息子くんも豆腐屋さん自体は見たこともあり、勿論店先の水に沈む豆腐を取り出すのを珍しそうにみてましたが息子くんも流石に自転車で来る豆腐屋さんは想像もつかなかったらしい。

 たまに今も回ってると息子くんが駆けて行って食べるラーメン。チャルメラと呼ばれているラーメンですね、あれママが子どもの頃は車ではなく屋台をひいていました。息子くんこちらにもビックリ。重い荷物を全部一人でひいていたということに、次に食べたラーメンを見ながら「歴史やなあ」と一言。

 そのラーメン屋台ですが車に変わった時は凄く店主が嬉しそうで、銭湯帰りによく寄っていたためか、父と話しながらママの鉢になるとをいつもより一枚多く入れてくれました、ママにも懐かしい思い出。

 そして紙芝居もまた息子くんには馴染みがなく、ママもこと紙芝居だけは幼稚園に行く頃には見なくなってしまったのであまり詳しく話せませんでした。

 原っぱでの虫相撲なども息子くんには縁がなくママの話を聞きたがってますが、息子くんその前に虫苦手過ぎて遊ぶ所では無いのでは?

 傘の修理も回ってくることはなくなり、べっこうあめも縁日の屋台でたまに見かけるぐらい。ママが子どもの頃当たり前にあった光景も息子くんにとっては非日常の風景。

 学校帰りに立ち寄った公園の焚き火なども今は禁止されているのですっかりなくなりましたが、冬の寒い帰り道お爺さんが公園の落ち葉拾いをした後で焚き火をよくしていて、遭遇すると皆で焚き火にあたりながら暖を取り色んな話をしたり、公園綺麗に遊んでねと注意をされたりしながら、焚き火で焼いた焼き芋をいただいたりしたのは、遠いママの幼い思い出で息子くんにはまるで絵本の中の話のような現実感のないものだったのかなと。

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