第33話お手紙

 息子くん、もう随分と大きくなってしまったけれど保育園時代からずっと今まで一度も母の日とか誕生日とか何かしてくれたことはありません。して欲しいわけではないので、無理にして欲しいというのではないけれど、それはそれとして一抹の寂しさがあるのも事実。

 うっかり忘れていた母の日に当日慌てて書いてよこしたお手伝い券は、ママの手に渡された頃には父の日が過ぎた後でした。

 そんな息子くん、保育園時代から小学校低学年にかけて数回だけ手紙を書いてくれたことがありました。

 とても綺麗とは言えない字でノートの切れ端だったり、折り紙の失敗した紙だったり。

 実は今もママのお財布には息子くんから貰った手紙が入れてあります。ママの宝物。

 どんなに悪戯した時も叱りつけた日も、夜に開いて読む大事な宝物。

 先日とうとう息子くんがその手紙に気付いて略奪しに来ました、勿論返り討ちにしました。ママの宝物奪って捨てようなんてまだまだ百万年早い。

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