エピローグ

 ――50年後。夜明学園、校門にて。


「恵里菜~、待ってよ」


 そう言って目の前を歩く少女に声を掛ける少年。


「馴れ馴れしく声を掛けないでと言っているでしょう? 何度言えばわかるのかしら」


 恵里菜と呼ばれた少女はそう言いながら、校内へと向かって歩き進める。


「はあ。君はまったく……」


 その場でため息を吐く少年。


「あ、隼人君。おはよう」


 その少年の後ろからそう声を掛けるひ弱そうな少年。


「篤志! おはよう!! また恵里菜がさ~」

「あはは」


 そう言って2人も校内へと向かっていく。


「そういえば、今日は新しい先生が来るらしいよ」

「良い先生だといいね!」


 篤志はそう言って微笑んだ。


「能天気だなあ、篤志は……恵里菜とそりが合わなきゃ、すぐに飛ばされちゃうのにさ」


 ため息交じりにそう言う隼人。


「大丈夫じゃないかな。なんかそんな気がするんだ」

「根拠は?」

「……勘?」

「当たるといいな」


 それから教室に入る隼人たち。


 そして始業ベルが鳴ると、教室の扉が急に開いた。


 突然のことに驚き、生徒たちの視線はその扉の方へ向く。


「今日からこのクラスの担当することになった――」


 その1人の教師との出会いで、また1人。心が救われた生徒がいたんだそう。



 * * *



 約70年前。この世界には『白雪姫症候群スノーホワイト・シンドローム』と呼ばれる、異能力が確認された。


 その力は思春期の少年少女たちにのみ発現する力で、力の制御が利かない子供たちが多くの事件や事故を引き起こしていた。


 その後、事件緩和のために政府は能力者のクラス制度を導入した。そして制度導入以降、事件や事故は減ったように見えていた。


 しかし表沙汰にはなっていない能力者の事件が多数あったことが、政府直属の研究所の調べでわかったのである。


 そして後にクラス制度の廃止と、能力者と無能力者の両方を受け入れる学び舎が設立されたことで、能力者に対する世間の考え方が徐々に変化していったのだった。


 その学び舎を創設したのは、当時S級クラスの教師をしていた三谷暁。


 そしてこれから先の子供たちの未来を創ったのは、紛れもなく彼であることに間違いないだろう。


 彼の魂はこの先の未来に受け継がれ、そしてこれからも多くの子供たちの心を救い、育てていく。




 これは1人の教師が子供たちと心を通わせ、未来を創る物語――。



―――――――――――――――――

 *あとがき*


 いつもお読みくださる皆様へ。


 ここまで本当にありがとうございました!


 今回をもって、『白雪姫症候群 ースノーホワイト・シンドロームー』の本編は完結となります。


 本編は完結しましたが、実はまだちょっとした伏線が残っているので、次回からアフターストーリーを展開していくことになっています!




 それでは改めてになりますが、本編完結までお読みいただき本当にありがとうございました!


 ここまで来られたのは、いつも応援してくださる皆様のお力故にと思っております。


 感想やレビューにたくさん励ましていただきました。本当に感謝の極みです……!


 初めて書いた物語の終わりを迎え、うまく表現できない気持ちだなあと思いつつ、最後まで書ききれたてよかったなあとほっと胸を撫で下ろしていたりしています。


 未熟な文章をかみ砕いて解釈してここまで読んでくださった皆様には、本当に頭が上がりません。


 作家としてはまだまだ赤ちゃんみたいなものなので、今回の経験を生かしてもっと素敵な物語を紡いでいけるように精進してまいります。


 ああ……語りたいことが多くて、つい長くなってしまいました。すみません!!




 そして明日からのアフターストーリー(全10話)も宜しくお願い致します(^^)

 


 しらす丼。

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