第3話 壊滅的な利休派
私は、先日事務所のあった場所で呆然としていた。
私:「売土地?」
通行人:「あぁ、そこは先日、火災が起きてね。死人は出なかったみたいだけど。」
私:「火災。」
途方に暮れていた私の後ろから、忍び寄る影があった。
とっさに振り向いた視線の先に、あの長官と秘書がいた。
私:「長官!探しました。」
長官:「まずは、新しい事務所に移動しよう。話はそれからということで良いかな?」
私:「はい。」
私は織部焼の店へ行った後、友人をなくした話をした。
長官:「そうか、君にはつらい思いをさせてしまったようだ。もう少し早く気づいてあげていれば。」
私:「それより、どうして火事が起きたのですか?まさか、織部ズムに放火されたとか。」
秘書:「証拠も何もないので、わかりません。」
私:「そんな~。何とかならないのですか?」
長官:「利休派の支部もいくつか壊滅している。千利休の逸話を根絶やしにする気なんだ。織部を天下一の宗匠にするためにね。」
私:「天下一の宗匠?」
長官:「古田織部は利休の後を継ぎ、豊臣秀吉、徳川家康らに仕え、陰から支えている。天下一の宗匠を名乗る古田織部にとって、利休派は、絶対的に邪魔者なんだ。」
私:「そんな理由で、利休派を排除しているなんて許せません。」
秘書:「織部ズムのボスは織部ラー。絶対的なカリスマと経済力を背景に、日本中を古田織部一色に変えようとしています。組織は階層構造で、直属の部下・織部リオン、都道府県に各一人いる織部ルケン、各市区町村に一人いる織部レン、各都市で店舗を任されている織部ロー、これら合わせて、織部幹部ラリルレロ。」
私:「織部幹部ラリルレロ。大組織ですね。利休派はどうなんですか?」
長官:「君を含め、今や10人だけだ。」
私:「私も含まれているんですか!」
長官:「君は、もう立派な利休派だ。既にこの地区の織部ローにマークされているからね。」
私:「そんな・・・」
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