第95話 お手伝いをしただけ
今回は、学園祭の振替休日、学校がお休みだった、一週前の火曜日のお話。
世間一般でいう平日に学校がお休みだなんて、高校生になって初めてのことだった。表立って出歩くのも憚られたわたし(理由は察してね)は、ほぼほぼボケっとしながら、このサイトで読書をしていた。
お休みの日のいつもの日課をこなして、ひと息ついていた時に、わたしのスマホに着信があった。珍しいことに、電話だった。
画面に表示された見知った名前に、通話のアイコンをタップする。
「ひなちゃん(仮名)? 今、暇? 迎えに行くから、お昼ご飯食べに行こうか?」
程なくして到着した、迎えに来てくれたお母さまと合流する。しかし、車の中に、お母さま以外の気配を感じない。不思議に思って車内を覗く、わたしの挙動不審な動きに気づいたお母さまが……。
「いくら起こしても起きないから……、おいてきた! お昼ご飯くらい、自分でなんとかしたらいいんだわ!」
お母さま、少々ご立腹である。
わたしを、助手席に招き入れ、車が動きだす。道中、車内では、
「高校に入って、初めての平日のお休みですから……、それに、
「それよ! それっ!」
お母さまの返事の意味がわからず、首を傾げるわたし。
「そんな、なにもない平日のお休みでも、ひなちゃんは、この時間には、ほぼ家事を済ませてるんでしょう?」
「はぁ……。でも、それは、朝、起きる時間が変わらないからできるのであって……。それに、父とふたりだと、どれも大袈裟にする必要もないので、簡単にしかしてませんし……」
「そこが、司との決定的な違いかぁ。ひなちゃんは、この時間にはもう、わたしにつきあってくれてるけど、実の息子は、未だ夢の中なんだもんね。いくら、3年ぶりの学園祭があったからって……、ねぇ?」
ねぇ? と言う、お母さまには同意を求められてるのだろうか?
「司くんだって、学園祭では大活躍だったんですよ」
「でも、司はひなちゃんが最大の功労者だって言ってたわよ。ひなちゃんがいなかったら、学園祭、今年もできなかったかも……って」
「生徒会も含めて、全員ががんばったんです。みんな、こういうイベントをやりたかったんでしょうね? わたしは、そのお手伝いをしただけですから……」
「相変わらず、自分への評価は低いのね……? でも、そこが、ひなちゃんのいいところか?」
返事に困るわたしを見て、お母さまは笑ってる。
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
ちょっと早いお昼ご飯の場所は、わたしの家と彼のとことの中間地点くらい。それでも、彼の住む市内にあるファミレスだ。
お母さまと楽しくお昼ご飯を食べてる最中だった。慌てた様子で店内に飛び込んできたのは、見慣れた顔。渡瀬くんだった。開口一番。
「どうして、母さんが、ひなと一緒なんだよっ?」
「司がいつまでも寝てっからだろ? 起こしても起きなかったくせに! ひなちゃんの名前を出した途端、これだよ!」
いつものように、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます