第68話 期待して待ってろ!

 済し崩し的に決まった、水着購入大作戦(美亜みあちゃん(仮名)命名)だったけど、もう少し続きがある。



「わたしもだけど、真琴まこと(仮名)も水着、新調しないとダメだろ?」


 自分の大きな胸を強烈に強調しながら、話を振っていったのは美亜ちゃんなのである。

 真琴ちゃんも頷いている。そりゃそうだろうよ。ふたりとも、初めて会った時から格段に進歩してるじゃないか? イヤミか? そんなことを考えてたわたしを、美亜ちゃんが一瞥して、今度は、莉緒りおちゃん(仮名)へと、話の矛先を変えていった。


「莉緒が一番成長してるもんな?」

「そうかなぁ?」

「そうだよ! 初めて会った頃は、ひな(仮名)と同じくらいだったろ?」


 三人が、揃ってわたしのほうを見た。そして、わたしと、確かに大きくなってる(小さいには変わらないけど……)莉緒ちゃんとの間を、ふたりの視線が行き交っている。

 それに、莉緒ちゃんは、わたしが見てもかわいいのだ。顔も喋り方も小柄なトコも、そのすべてに癒される。その上でロリ巨乳(わたしと比べて……、巨乳の範囲は諸説あり?)なんて反則でしかない。


「わたしだって、年に数ミリだけど、っきくなってるよっ!」

「ひなはこう……、まぁ、がんばってるけど、わたしが思うに、その数ミリは誤差の範囲だ!」

「失礼だな、おいっ」

「だからと言って、今回は、中学の時のスクール水着でいいってことじゃない! あ? 渡瀬わたらせ(仮名)は、スクール水着のほうが良かったか?」

「だからぁっ、他人ひとの性癖を決めつけるんじゃないって! ちょっとぉっ、渡瀬くん? なに想像したらそんなに紅くなれんのよ」

「だいじょうぶだ、渡瀬! 超絶かわいい、ひなの水着姿を期待して待ってろ!」


 も、もうやめて。はずかしすぎる。渡瀬くんも、そんなに期待を込めた視線を向けないで。



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 土曜日の夜から、美亜ちゃんたち四人(美琴みことちゃん(仮名)を含めて)が、うちに泊まることになった。

 三連休最後の月曜日に、わたしを逃がさないためらしい……。

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