第67話 こころの声はこんな感じかな?
月曜日から、期末テストの返却が始まった。
結果は、みんな概ね良好のようだ。
そんな弛緩した空気が流れるお昼休み。
親友の
その三人とは、当然のことながら、
四人が、並べた机の上に身を乗り出し、小さな声で密談を始めた。時々、美亜ちゃんに促されるようにして、わたしのほうを窺っているのがわかる。
あれ? わたし自意識過剰かな? でも、渡瀬くんの視線は確かに泳いでる。
お? 渡瀬くんと目があったぞ? でも、なに、
美亜ちゃんが、わたしたちのところに戻ってきた。
「渡瀬くんたちと、なに話してたのさ?」
「ん? 夏休みのことだよ。みんなで出かけないか? っていう話」
「そんな暇ないよね? みんな、受験生でしょうが」
「ひな(仮名)、おまえもな? だから、最初、遊びに行って、あとは勉強に専念すんだよ! わたしたち、高校に入ってどこにも行けてないじゃん! 最後の夏休みなんだしさ、思い出くらい作ろうよ!」
「このご時世なんだから仕方ないでしょ?」
「だから、今なんだって! まだ、行動制限はしないって言ってるじゃん」
「で? どこ行くのよ?」
「
「ヤダっ!」
美亜ちゃんが大きなため息をひとつ
「こんな子どもみたいな体を、みんなに見られるのが恥ずかしいんだよ。それに水着姿なんて、もっととんでもない。美亜ちゃんみたいな
「なに、人の頭の中を覗いてんのよ? 勝手にナレーションまで入れて」
「イヤ、ひなのこころの声はこんな感じかな? って」
「そのとおりだよ! だから、ヤダっ!」
「渡瀬は、小っちゃいのが好みなんだろ?」
「勝手に、
「ひなは、こう言ってるけど……? 渡瀬だって、ひなの水着姿……、見たいだろ?」
美亜ちゃんが、話を振った先を見ると、渡瀬くんが大きく頷いていた。
「それから、
「先週、会ったばっかだよ」
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
「今度の月曜日は、水着、買いに行くからな」
とどまるところを知らない、美亜ちゃんだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます