第61話 誰か探してんのか?
友人の
その制服を、朝から着てこい……と。わたしも着て行くから……と。
確かに、美亜ちゃんも着てきた。ちょっと小さめ。元々、ゆったりしたデザインだったりもするので、特に、そこに違和感は感じなかった。美亜ちゃんの大きめな胸だけは、ハッキリと自己主張してたけど。
まずは、送迎バス。初等部の子どもたち以外は、どのバスに乗ってもいいことになっている。自然に、中等部、高等部と住み分けができていたが……。運転手さんに、「中等部のバスじゃなくていいのかい?」って言われた。「友だちに巻き込まれまして……」と言い訳するわたしを見て思いだしてくれたらしい。実は高等部の生徒だったと。
わたし、毎朝、挨拶もしてたのになぁ。笑顔が足んなかったかなぁ。
次。バスから降りて、高等部の校舎に向かっている時だった。後ろから呼び止められる。
「高等部の校舎になんか用か?」
わたしがその声に振り向くと、そこには、高等部の英語科の先生。振り向いたわたしと目が合った。数秒後、その先生が笑いだす。そして。
「なんだ、
失礼な。
さらに……。昇降口でも同じようなできごとが……。
こちらは、社会科の先生だった。
そして、教室。入り口で中に入るのを躊躇している時だった。こちらも背後から声がかかる。
「誰か探してんのか?」
そこに立っていたのは、
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
この後、渡瀬くんが、盛大に不貞腐れるわたしを宥める役を押し付けられた。一日中、かわいいよとか似合ってるよとか言ってくれてたから嬉しかったけど、複雑な気分の一日だった。
だって、美亜ちゃんは、一度もこんなこと言われてなかったんだもん。
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