第35話 そぉ?

 先週の木曜の夜は、美亜みあちゃん(仮名)が一緒に寝てくれた。

 で、金曜の夜は、お父さんのベッドに潜り込んだ。さすがに、お父さんの胸に顔を埋めて……とか恥ずかしいので、ずっと背中を向けてた。

 さらに、土曜の夜は、美亜ちゃんが、うちにやってきた。わたしと違って、美亜ちゃん、わたしのうちにお泊まりセット常備だからね。夜、一緒に寝た。



 そして、明くる日曜日。

 美亜ちゃんと一緒に出かけた。『絵師100人展』を見に行った。わたしは、こういうの好きだけど、美亜ちゃんも興味あったんだ?

 展示されてる、綺麗で美しくてかわいいイラストの数々。癒される。

 たぶん、わたしの好みに合わせてくれたのだろう。

 しかし、わたし、こういうのにすぐ影響されるからなぁ。わたしの愛用タブレットには、アイビスペイントというアプリが常駐してる。実力は、まぁ……、残念!


 その後、ふたりでお昼ご飯を食べて、もうちょっとだけ付き合ってもらった。線路下の小さな部品を扱う店が立ち並ぶそのエリア。

 まぁ、美亜ちゃんにはつまらないところだと思うけど、来たついでなのだ。


「ひなの趣味が変わってるとか、今さら言わないけどさぁ。見た目とのギャップがすごいよな?」

「そぉ?」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 その日の夜、昼間動きすぎたわたしは、体力の限界だったのだろう。『ダッシュ海岸』見てたはずだけど……。『藻屑がに』の後からの記憶がなかった。子どもでも、こんな早い時間に寝落ちはしないだろう。

 お父さんの夕飯の用意は終わらせてたからよかったけど……。

 明るくなってくるまでが……永い。

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