第34話 ありがと

 先週の木曜日、学校が終わって、美亜みあちゃん(仮名)が、わたしのうちまでついてきてくれた。

 わたしが、お泊まりの準備をしてる間、美亜ちゃんは玄関で、お仕事がお休みでうちにいたお父さんと話し込んでいた。わたしを連れていくことを話してるようだ。


 お父さんには、ここ暫く寝れてないことは話してたから、『環境を変えてみ?』という美亜ちゃんの意見を聞いてくれたみたいだ。美亜ちゃんに向かって頭を下げてるお父さん。

 う〜ん、みんなに心配をかけてるなぁ。



 で……、久しぶりの美亜ちゃん

 美亜ちゃんのお母さんによる熱烈な歓迎を受けた。連れてこられた理由も聞いてるみたい。

 美亜ちゃんが、『家の手伝いをしない!』って嘆いてたから、大槻おおつきの夕飯の準備は手伝った。娘とふたりでキッチンに立ちたい……というのが、美亜ちゃんが産まれてからの『夢』なんだとか……。お母さんとふたりで料理する。わたしからしたら、羨ましい限りだ。叶えてあげなよ、美亜ちゃん?


 夕飯の後は、お風呂。なぜか、美亜ちゃんが一緒に入りたがるので、仕方なく了承する。でもね、同性でも、イヤ同性だから余計に気になるんだろうね。その大きな胸を見ると、つい自分のナイ胸を見て比べてしまう……。残念!


 わたしが我慢の限界まできて寝落ちをするまで、美亜ちゃんといろんな話をした。

 この夜は、いつもの『夢』の最後まで見ることがなかった。美亜ちゃんが、うなされてるわたしに気づいて起こしてくれたんだそうだ。


「ありがと……。ホントに死んじゃうんじゃないかって思ったよぉ」


 肩で息するわたしの背中を暫く撫でてくれてた美亜ちゃん。

 気を遣わせてしまった……。



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 金曜日、自分の家に戻った。その夜は、こちらも久しぶり、お父さんのベッドに潜り込んだ。恐い『夢』は、やっぱり見たけど、それなりに睡眠時間は確保できたみたいだ。

 そんな話をしたら、土曜日は、美亜ちゃんが、うちに来るってがんばってた。

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