第532話 スケルトンと手合わせを……
漆黒のスケルトンが立ち上がると背後に雲のごとき
「背後にいたアンデッドは……?」
「コヤツラハ私ノカツテノ部下デアリ、今ハ眷属デモアル者達デス。ソレゾレガ独立シタ意思ヲ持ッテイマス。私ヲ団長トスル騎士団トシテノ連携ハモチロン可能デアリ、ソレニ関シテハ自信ガアリマスガ、コノヨウニ真ナル魔王サマト相対スル際ニハ私ニチカラヲ集約スルコトガ可能ナノデス」
『なんかすごい能力な気がする……。その気になれば単独で相手陣内に潜入してそこで軍勢を展開とか……。騎士団というか……、いや騎士団っぽいんだけど破壊工作員のような気も……?』
スケルトンの言葉に頷き返しつつそんなことを考えるミナト。ただ戦闘に関しては受け入れたのか腰に装備している短剣の柄へと手をかける。シャーロットたちが姿を消した時点でこのような展開は十分予想できていたのだ。
腰の短剣は鉄鉱石に微量のミスリルを加えた合金を打って造られた逸品。ミスリルが含まれた上質の鉄鉱石を使ってグランヴェスタ共和国の首都ヴェスタニアで職人をしているアイリスに頼んで造ってもらった品だ。
闇魔法は使用しない。ミナトは剣術をもってスケルトンの相手をすることに決めていた。
「ホウ……。コノ私ヲ相手ニ剣ヲ……」
そう呟くように言ったスケルトンも腰の長剣を構える。スケルトンから発せられる武威がさらに数段高まった。そしてその禍々しい雰囲気を放つ長剣の刀身は未だ鞘に納まったまま……、どうやら居合斬りに近い技を繰り出すらしい。
ミナトは短剣を抜き放つ。瘴気に包まれた周囲一帯が張り詰めた静寂に支配される。
「!」
次の瞬間、抜き放たれたスケルトンの長剣が美しい曲線を描き出す。恐るべき剣速で放たれた抜き打ちは滑り込むかのようにミナトの右の脇腹へと迫る。
ミナトは身体強化魔法を全力で行使し恐るべき抜き打ちの間合いへと侵入する。当然のことながらLv.MAXである闇魔法に比べればミナトの近接戦闘技術は劣っていると言える。しかし、そんなミナトであってもこれまで習得してきたスキルと魔法を全力で発揮した際の剣術は、極短時間であればアースドラゴンの長であるナタリアや
【保有スキル】白狼王の飼い主:
白狼を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
身体強化魔法の性能を圧倒的に向上させる。上限はなし。強化の度合いは任意。
強化しすぎると人族では肉体が瓦解する危険があるので注意。
種族が人族であるときは気を付けましょう。
【保有スキル】暗黒騎士の主君:
あ、人族である場合は身体強化をお忘れなく。非常に苛烈な剣技のため自身の身体が保てない恐れがあります。
【眷属魔法】
極めて高位の眷属を従えるという類稀な偉業を達成したことによって獲得された眷属魔法。アースドラゴンを眷属化したため取得。
【保有スキル】白狼王の飼い主、【保有スキル】暗黒騎士の主君、そして【眷属魔法】
勝負はまさに一瞬。その刹那の中、ミナトの短剣は漆黒のスケルトンの右手首を握られた長剣ごと天高く斬り飛ばしたのである。
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