第501話 ブランデーというお酒
「そして白ワインを蒸留したお酒っていうのは?」
ひとしきり美女たちとブルードラゴンの美少女達とマールを楽しんだミナトは改めてそう問いかけた。ミナトがブルードラゴン達にお願いしていたそのお酒とは……、
「はい!こちらの樽に用意してございます!ブランデーとマスターがお呼びしていたお酒ですね!」
その言葉と共に運ばれてきたのは
「こちらは熟成が必要とのことでしたのでこの段階での瓶詰めはしておりません」
その言葉に頷くミナト。
『そう、ブランデーには熟成が必要なんだよね……』
すぐに飲めないことを残念に思い心中でそう呟くミナト。その傍らでシャーロットとデボラが驚きに表情になっている。
「ミナト!それがブランデーなの!?それがあればもっと色々なカクテルが造れるっていつもミナトが言っていた……?」
「うむ?確か我が里で造っているテキーラを用いるマルガリータに造り方が似ているカクテルがあったのではないか?」
シャーロットとデボラが反応し、それに引き続き、
「ん?そうなの?マルガリータはボクも大好き!」
「ソウナンデスカ〜?」
ミオがこてんと首を傾げ、ピエールがふよんと揺れる。
「ああ、確かミオとまだ出会う前、アクアパレスにあったカフェでオレンジリキュールを見つけた時だっけ?味わいは結構違うけど、作り方はマルガリータに似ているカクテルの話をしたよね」
テキーラでマルガリータ、ジンでホワイト・レディ、ブランデーでサイドカー、ウォッカでバラライカ、ラムで
どれも造り方は似ているが、それぞれが主役を張れるくらいに美味しいカクテルである。ミナトとしてはバリエーションという言葉を使わずにそれぞれが完成されたカクテルとして認識されてほしいと常々思っていた。そして未だにブランデーとラムは入手できていない。
そんな話をすると、
「ブランデーを使ったカクテルには興味があったのよね!」
「うむ。マスターが入手したいと言っていたブランデーがついに……」
「ん。飲んでみたい!」
「どんお酒でしょウ〜?」
シャーロットたちからそん言葉が返ってくるが、ミナトは残念そうな表情になる。
「ブランデーは熟成が熟成が必要だから美味しく飲めるのはもう少し先の話かな?」
その言葉にショックを受けた表情になる美人一同。
「ミナト?熟成期間ってどれくらいなの?」
代表してシャーロットが聞いてくる。
「う〜ん……、三年から三十年?たぶん長くしようと思うと際限がないかも……?」
かつてミナトが訪れたパリの伝統あるレストランのブランデーリストには二十世紀初頭からのブランデーが並んでいた。ざっと百年以上前である。
「ミナト!いくら私たちでもミナトと一緒に過ごしながらの三年は結構長いく感じるわよ?」
「うむ。マスターといると退屈しないからな。ただ漫然とした日々を過ごす百年よりマスターとの三年は長く感じるだろうな」
「ん。ブランデー……」
「時間がかかるのですネ〜」
そう言われてもミナトにはどうしようもない。お酒の熟成を促進する魔法などあるとは思えず……、
「マスター!皆さま!ご報告があります!」
そんなちょっと残念に思ってしまう状況で、ミオの代わりにブルードラゴンの里を治めている一人が声を上げた。
「?」
ミナトが首を傾げつつ少女へと視線を投げかけると、
「実はアースドラゴンの方々とその点について協議を重ねました。アースドラゴンの里でもウイスキーを造っていましたから……。そこで試作品ではありますがウイスキーやブランデーの熟成を早める魔道具を共同開発したのです!」
思わぬ言葉に顔を見合わせるミナトたちであった。
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