第467話 スゴいスキル

大いなる虜囚グランド・プリズナー?ってどういうスキル?なんか物騒な名前だけど……」


 ミナトのそんな問いかけに、


大いなる虜囚グランド・プリズナーってスキルぁ条件さえ満だせば第三者のスキル自身使用でぎる、もしくは自身さ使用するごどがでぎるみでぐなるスキルだ」


「えっと……?」


 ここにきてミナトには東北系の方言に聞こえる話し方をするファーマーの回答の意味が理解できなかったミナト。シャーロットに救いを求めて視線を送ると、


「つまり条件さえ満たせばファーマーはミナトが持っているスキルを使えるようにもなるし、ミナトが持っているスキルをファーマーに使うことができるようにもなるってことね。ミナトのステータスにある【眷属魔法】の眷属強化マックスオーバードライブはスキルの一つって捉えることができるのであれば後者の方法で眷属強化マックスオーバードライブをファーマーに使うことができるようになるかもしれないの」


 シャーロットの解説を聞いて、


「条件さえ満たせばあらゆるスキルを使える可能性があるってこと?ぶっ壊れ系のスキル?」


 思わずそう呟く。相手を捕食して能力を獲得するキメラなアントが一瞬だけ頭をよぎった気がする。何故か薔薇の花もよぎったがそこは考えないようにするミナト。


「そんなに簡単じゃないわ。条件は相手が自身のスキルをファーマーが使うことに全面的に賛同することなの。心から賛同しないと難しいわ。だけどこの世界には隷属魔法があるから……」


「もしかして魔王軍のトップだった頃は滅茶苦茶やった?」


 ミナトの言葉に、


「敵味方関係なく強制的に集めた幾千、幾万のスキルによって彼本来の魔法攻撃にさらなる威力と圧倒的な多彩さを上乗せして相手を蹂躙する姿はヤバかったわよ?」


 シャーロットがそう返す。


「魔王の意思さ操られでらったどはいえ、あの頃のごどは謝罪してもしきれるものでねど今でも思ってら」


 そう言って俯くファーマーさん。


「あの頃のファーマーの行為は全てを魔王に支配されていた結果の行為だから今のファーマーを責めても意味がないわ。それに魔王の支配から解き放たれて以降の人族や亜人への貢献を考えればお釣りがあってもおかしくないくらい彼は人族や亜人のために力を尽くしたわよ?」


「うむ。その点に関しては我も完全に同意する。住民を率いての撤退戦でファーマー殿は何度も滅びの危機がある殿しんがりを努めていたからな」


「ん。戦時下であっても教育がないのはよくないと言って子供に学問を教えていた。立派!」


「あらあら〜、懐かしいですね〜。私もお手伝いをさせて頂きましたことを覚えています〜」


 かつてを思い出したのかデボラ、ミオ、ナタリアの三人がそう教えてくれる。


「吾輩と違ってファーマー殿には学と教養がありましたからな!」


 そう言って胸を張るのは首無し騎士に変身したロビン。


「最終的さ子供さ人気になったのぁロビン殿でしたげどね」


 そう答えるロマンスグレーのファーマーを見て悪い魔物ではないことを再認識するミナト。


「ミナト、ファーマーにスキルを使わせてもいいかしら?」


改めてそう聞いてくるシャーロットに、


「ああ、問題ないよ。どうやったらおれの眷属強化マックスオーバードライブをファーマーさんに使用できるのかな?」


 ファーマーとシャーロットに笑顔でそう返すミナトであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る