第141話 水竜を饗するもの
ブルードラゴンの長が白ワインの入ったグラスを掲げる。
「ん。とても美味しそう。そしてこのソースの香りは食欲を刺激する。異世界の料理を作って頂き感謝!みんなもう待ちきれない!頂くことにしよう!乾杯!」
ブルードラゴンの長が乾杯の合図を取り、全員がグラスを掲げてそれに応じた。そして皆がアイオリ・ソースと干し鱈や野菜の相性に驚愕することとなる。
「もぐもぐ…、ミナト!このソースは美味しいわね。ぱくぱく…。マヨネーズも美味しかったけど、アイオリ・ソースの方がこういった食べ方に特化している気がするわ!ごくごく…、白ワインがとても美味しいわ!」
「うむ…。ぐびぐび…、このソースで食材を食べると白ワインが止まらないな!モグモグ…、カクテルだけではなく料理の腕もマスターは素晴らしいぞ!」
「「おかわり!!」」
おかわりまで頼みつつ盛大に飲み食いしている絶世の美女二人を見れば彼女たちの評価は歴然である。そんな二人を眺めつつミナトも茹でた干し鱈にアイオリ・ソースをたっぷりと付けて食べ、そして白ワインを口へと運ぶ。
「…………………これは………、うまーーーい!!最高だ!これこそ自画自賛の出来栄え!!」
思わずグラスを掲げて歓喜した。今回の料理もうまくいったらしい。楽しい時間を過ごしているとミナトの傍らにブルードラゴンの長がやってきた。
「ミナト殿、カクテルという素晴らしいお酒と素晴らしい異世界の料理に心から…、本当に心から感謝する」
そう言ってペコリと頭を下げた。非常に可愛らしいと思うミナトである。
「そう言ってくれて嬉しいよ」
ミナトも笑顔でそう返す。
「この長い竜の半生においてここまでに感動したのはシャーロット様にご助力頂いたとき以来!」
「なんかそんなに言われると照れる…、というかこんな
狼狽えるミナト。しかしブルードラゴンの長はそんなミナトに構うことなく言葉を続ける。
「謙遜することない!シャーロット様に匹敵するほどの強大な力。カクテルや異世界の料理を作る技術。ドラゴンは強さに惹かれるもの…、だけどそれと同じくらい高い技術力にも惹かれるもの…。ミナト殿は尊敬するに足る存在!」
そう言いつつ笑顔でビシッとポーズを決めるブルードラゴンの長。とても可愛らしい。しかしそう考えていたのは彼女だけではないらしい。なんだかこれまで以上に凄い数の尊敬の眼差しが自分に降り注いでいるような気がする…。視線をどこにやったものかと辺りを見渡すミナトであるがその視線の先にいるブルードラゴンたちの体がうっすらと輝き始めた。
「シャーロット…、これって…」
ミナトは遠い目をしながらシャーロットに問いかける。
「うふふ…、ミナト!おめでとう!どうやらブルードラゴンたちをテイムしたみたいね!これで世界を司る属性である火と水の属性はミナトが司っているようなものね。つまり世界の三分の一…、ぷぷぷ…」
「我らレッドドラゴンに続いてブルードラゴンたちもテイムするとは…。我らとブルードラゴンが傘下であればかつての魔王が率いた軍もただの雑魚だな…。ふふふふ…」
笑いをこらえながらとんでもないこと言ってくる美女二人。
「やっぱりそうなった…。でもみんなが楽しそうならそれでいいのだけれど…」
ぐったりしつつも楽しそうなブルードラゴンたちに優しい視線を向けるミナトであった。
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