80話
というわけで始まりましたクリスマスパーティー。
二人とも何事もなく戻ってきた。目がうっすら怖いけど気のせいだと思いたい。
「そういえばクリスマスパーティーって何するの?」
ふと、思い付いて言うと、日夏が少し考え込む仕草を見せた。
「うーん、ゲームとかプレゼント交換とかじゃない? あ、そうだ、渚くん、ちゃんとプレゼント持ってきた?」
「当たり前よ。ほら」
俺はカバンから包装紙に包まれた小さい包みを取り出す。
事前に連絡があったし、プレゼント選びはなかなか難航したが、ケイヤに手伝ってもらい何とか前日に用意することができたのだ。
俺以外もちろん女子だから、女子受けしそうなものを買ってきたが、ケイヤは微妙な顔をしてたんだよな。何故だろう。
しかも、
『服選びはセンスあんのに、プレゼントは……良くも悪くもないというか……。正直微妙』
って、言われたんだが。酷くね? 泣いて良いよね?
しかも、じゃあ、お前が判定してくれよと言うと『いや、プレゼントってその人が選ばねぇと意味ないだろ』って、正論かまされたよ。
ちくしょう、ケイヤのくせに正論言いやがって。
という、恨み辛みはさておき、俺もプレゼント貰えるし楽しみだぜ。
「まあ、プレゼントはラストだけどね。とりあえずゲームしよっか」
日夏の提案に俺と花ちゃんは頷く。
そして、日夏はいそいそとゲームの準備を始めた。
「日夏ってゲームするの?」
「実はこのクリスマスパーティーのために買ったんだ……」
少し恥ずかしそうに笑う。
すげぇな。ハードから何まで揃えたのか。結構お金かかるのに。
「言ってくれれば私が家から持ってきてあげたのに……」
やれやれとため息を吐く花ちゃん。あ、持ってるんだ。
「ちょっと、やってみたいゲームもあるし、自分でゲームを選ぶってなんだかワクワクしない?」
「あー、それはめっちゃわかる。特に初めてなら尚更だろうな」
俺が同意すると、花ちゃんもかなり大きく頷く。おいおい、首取れるぞ。
「で、今回のゲームはこれです! じゃじゃん!」
かなりテンション高めでテレビを指差し、プレイするゲームを発表する。
「「おぉ、ハリオカートか」」
花ちゃんも知ってたか。
ハリオカート。ハリネズミのようなキャラが乗った車を操作して一位を競うレースゲームだ。
各種、ステージが豊富で、落とし穴だったり火山だったり、はたまた宇宙とか、ギミックの多さが人気を博している国民的ゲームだ。
「これは面白いよな。しかも、最新のやつか! 俺もまだ持ってないな」
「お小遣いは多めに持ってるんでね、ふふふ」
得意気に日夏は笑う。
ぬぅ、俺も早く買わねばな。
「私なんて月のお小遣いが3000円だから貯めないとゲームなんか買えないわ……」
お小遣い制なのか。
俺は、月の生活費を渡されて、余った分を好きに使っても良いという制度だ。
だから月換算するなら、二万円くらいは使えるな。多分、一般家庭よりかなり多いはず。
ま、特にゲーム以外買うものもないし、貯金してるけど。
「じゃあ、早速やろっか。はい、コントローラー」
日夏が俺たちにハンドル型のコントローラーを手渡してくる。
おぉ、別売のやつもちゃっかり買ってるんだな。
ハリオカートは、普通のコントローラーでもプレイ可能だが、リアリティーの追求によって、車のハンドル型のタイプもある。
センサーが付いていて、本物の車のように、左に回すと左に動く。
当時、最初にこれが発売された時は売り切れ続出だったらしい。まあ、画期的だもんな。
さてさて、デュエルスタンバイ! ……ごめんなさい。
ゲームを起動させ、三人プレイにする。じゃんけんで勝った人が好きなステージを選ぶことになった。
「「「じゃんけん、ポンッ!!」」」
俺がパー、花ちゃんがグー、日夏もグー。俺の勝ちや!!
まあ、一番最初だし、慣らすためにも簡単なステージにした。
前作とステージはあまり変わらないな。ちょっと追加されたくらいか。
そして、ステージ選択を押す! その瞬間、日夏があははー、と何処か気まずそうに笑いながら告げた。
「あ、ごめん。二人とも。操作方法わからないや……」
「「先に言えや!」」
「ご、ごめんね?」
ま、まあ、初心者だし仕方ない。
俺たちは二人がかりで日夏に操作方法とだいたいのルールを説明した。
本当にゲームをしたことがないんだな、と分かる初心者の動き。俺も花ちゃんもゲームを教えるのは下手くそだったのでなかなか難航した。
しゃーなくない? ゲームって結構フィーリングでやるじゃん。
三十分ほどで、競うことのできるレベルまで到達したので、いざ勝負だ!!
俺たちはテレビの前に三人横並びになってスタンバイする。
左から、俺、日夏、花ちゃんの順番だ。
そして、今度こそステージ選択を押す。
よーし! 勝つぞぉぉ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
某レースゲームでのラブコメ展開。読めますかねぇ……ニヤニヤ
ちなみに、実際起こりえます。なんなら、ありましたね。
どうぞ、予想してみてください!
次話投稿するまで、正解は伝えませんもちろん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます